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行使と売却が同じ年の税金
同じ年に行使して売却しても、行使と売却を一つの利益として計算するわけではありません。
税制適格ストックオプションなら、原則として行使時の課税を売却時まで繰り延べます。一方、無償・有利発行型の税制非適格ストックオプションは、行使時の経済的利益と売却時の譲渡損益を別々に計算します。
最初に確認するのは、行使日や売却日ではなく、そのストックオプションの税務上の区分です。
「同じ年の取引だから、売却代金から行使価額を引けばよい」と考えると、税制非適格ストックオプションの行使時課税を見落としたり、反対に同じ利益へ二重に課税してしまったりするおそれがあります。
税金は、付与契約に書かれた区分、行使時の株価、権利行使価額、売却価額、株数、手数料をそろえて計算します。会社の給与処理と自分の譲渡所得計算を照合することも欠かせません。
計算方法は、税制適格か、無償・有利発行型の税制非適格かによって変わります。同じ年に両方の取引があっても、この区分は変わりません。
| 区分 | 行使時 | 売却時 | 株式の取得価額 |
|---|---|---|---|
| 税制適格SO | 要件を満たせば課税を繰延べ | 売却価額と権利行使価額等との差額を譲渡所得として計算 | 権利行使価額 |
| 無償・有利発行型の税制非適格SO | 行使時株価と権利行使価額との差額を、通常の従業員なら原則として給与所得に計上 | 売却価額と行使時株価との差額を譲渡所得として計算 | 行使時の株価 |
※参照元URL:経済産業省「ストックオプション税制」(https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/stock-option.html)
※参照元URL:国税庁「No.1543 税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1543.htm)
税務上の区分は、確定申告のときに本人が選ぶものではありません。付与契約、発行決議、会社の税務案内、株式の管理方法などから確認します。
会社へ確認したい資料
※参照元URL:国税庁「ストックオプションに対する課税(Q&A)」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241130/pdf/0024011-017.pdf)
税制適格要件を満たす場合、行使時の経済的利益には課税せず、株式を売却したときに譲渡所得として計算します。
税制適格SOの基本式
譲渡所得=売却価額-権利行使価額を基礎とする取得費-売却手数料等
取得価額は行使時の株価ではなく、株式を取得するために払い込んだ権利行使価額です。適格SOで取得した株式は、同じ銘柄の通常取得株式とは区分して取得費を計算します。
株式等の譲渡所得は申告分離課税で、所得税等15.315%、住民税5%の合計20.315%が基本です。ただし、実際の税額は他の株式取引や損失、端数処理などで変わることがあります。
※参照元URL:国税庁「No.1540 ストック・オプション税制の適用を受けて取得した株式を譲渡した場合」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1540.htm)
※参照元URL:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1463.htm)
無償・有利発行型の税制非適格SOを、通常の雇用関係に基づいて付与された従業員が行使した場合、行使時の経済的利益は原則として給与所得です。その後の株価変動だけを、売却時の譲渡所得として計算します。
行使時の給与所得
(行使時株価-権利行使価額)×行使株数
売却時の譲渡所得
売却価額-行使時株価を基礎とする取得費-売却手数料等
行使時株価を売却時の取得価額にすることで、給与所得として計上した値上がり分を、譲渡所得でもう一度課税することを避けます。取得費を権利行使価額だけで計算しないよう注意してください。
国内の発行会社等が給与支払者になる通常の例では、行使時の給与所得は源泉徴収の対象です。ただし、源泉徴収票に行使益の内訳が個別表示されるとは限りません。給与明細、行使確認書、会社の株価算定資料を照合し、給与へ反映された金額を会社へ確認します。
※参照元URL:国税庁「No.1543 税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1543.htm)
※参照元URL:国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm)
※参照元URL:国税庁 確定申告書等作成コーナー「外貨建てのストックオプションの収入の入力例」(https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/ocat2/ocat21/cid477.html)
同じ条件でも、適格か非適格かで所得の分かれ方が変わります。次の例では、権利行使価額1,000円、行使時株価3,000円、売却価額3,500円、1,000株、売却手数料2万円とします。
| 区分 | 行使時 | 売却時 |
|---|---|---|
| 税制適格SO | 課税なし | 3,500,000円-1,000,000円-20,000円=譲渡所得2,480,000円 |
| 税制非適格SO | (3,000円-1,000円)×1,000株=給与所得2,000,000円 | 3,500,000円-3,000,000円-20,000円=譲渡所得480,000円 |
最終的な値上がり幅が同じでも、税制適格SOは売却時の譲渡所得へ集約され、税制非適格SOは行使時の給与所得と、その後の値動きによる譲渡所得に分かれます。給与所得と譲渡所得では課税方法が異なるため、金額を合算して同じ税率を掛けることはできません。
行使時株価3,000円の非適格SO株式を2,800円で1,000株売却し、手数料が2万円なら、売却時は22万円の譲渡損失です。一方、行使時に計上した200万円の給与所得は残ります。
国税庁の計算式に沿えば、同日・同価格で売却した場合、非適格SOの売却時譲渡損益は手数料等を除いて小さくなると考えられます。それでも、行使時の給与所得は残ります。実際には行使時株価と約定単価のずれ、手数料、端株、既存保有株の有無によって譲渡損益が変わるため、「同日売却なら売却益は必ず0円」とは限りません。
※参照元URL:国税庁「No.1465 株式等の譲渡損失(赤字)の取扱い」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1465.htm)
※参照元URL:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1474.htm)
同じ年に行使と売却がある場合は、行使に関する書類と売却に関する書類を分けて集めます。そのうえで、税制非適格SOなら給与所得への反映額、売却した株式なら取得費と譲渡価額を確認します。
申告前にそろえたい資料
※参照元URL:国税庁「令和7年分 株式等の譲渡所得等の申告のしかた」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/Q/Q16-2.pdf)
行使と売却が一度ずつなら、必要な数字を分けることで整理できます。区分、株価、既存保有株、会社の給与処理が一つでも曖昧なら、申告前に確認した方が安全です。
よくある計算ミス
税理士への相談を検討したいケース
同じ年でも、最初に行使と売却を分ける
税制適格SOは、原則として行使時課税を売却時まで繰り延べ、権利行使価額を取得価額として譲渡所得を計算します。無償・有利発行型の税制非適格SOは、行使時株価と権利行使価額の差を給与所得、売却価額と行使時株価の差を譲渡所得として計算します。
二つの計算表と根拠資料を一組で残す
行使日・行使株数・権利行使価額・行使時株価をまとめた表と、売却日・売却株数・売却価額・取得費・手数料をまとめた表を分けます。付与契約書、行使確認書、株価の根拠資料、給与明細・源泉徴収票、売却報告書、手数料明細を各表と一緒に保存してください。二つの表を会社の給与処理と証券会社の売却記録へ照合できる状態なら、同一年の取引でも課税関係を追いやすくなります。
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非適格ストックオプションは、行使と売却が同じ年でも、まず行使益を給与所得として確定し、その後に株式の譲渡損益を計算します。売却代金が手元に入ったからといって、行使時の給与所得と売却損を一つの差額にまとめないことが大切です。行使日と売却日の資料を分けて残しておけば、会社の給与処理とも照合しやすくなります。