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「マイクロ法人を作ると節税になる」と聞いて、設立を考えている方もいるでしょう。
たしかに、マイクロ法人はうまく使えば税金や社会保険料の負担を調整しやすくなる場合があります。副業収入や不動産収入、法人契約で受けたい仕事がある人にとっては、個人のまま続けるより選択肢が広がることもあります。
ただし、マイクロ法人は作ったあとに維持費がかかります。
法人住民税、会計ソフト代、税理士費用、法人口座やバーチャルオフィスの費用。役員報酬を支払う場合は、社会保険料も考えなければなりません。
特に年収2,000万円前後の会社員は、単純に「法人税率のほうが低いから得」とは判断できません。本業の給与、副業収入、役員報酬、社会保険、勤務先の副業規定まで絡むため、見た目の節税額だけで決めると、手取りが思ったほど増えないこともあります。
この記事では、マイクロ法人の維持費の目安と内訳、設立前に確認すべき損益ライン、税理士に相談したほうがよいケースを解説します。
このページでは、主に次の内容を解説します。
マイクロ法人は、設立すれば自動的に得をするものではありません。
大切なのは、「維持費はいくらか」だけでなく、「その維持費を払っても、個人の手取りや法人に残る資金が増えるのか」まで見ることです。
マイクロ法人の維持費は、法人住民税や会計ソフト代だけでなく、社会保険料・税理士費用・本人の作業時間まで含めて判断することが大切です。
マイクロ法人の維持費は、かなり絞って運営しても毎年一定額はかかります。
まず代表的なのが、法人住民税の均等割です。法人税は利益が出たときに発生しますが、法人住民税の均等割は赤字でも発生します。一般的には最低額として年7万円程度が目安にされることがありますが、所在地、資本金、従業者数によって変わるため、実際の金額は自治体ごとに確認が必要です。
そこに、会計ソフト代、税理士費用、法人口座やバーチャルオフィスの費用などが加わります。自分で記帳から申告まで行うのか、決算だけ税理士に依頼するのか、毎月の顧問契約を結ぶのかによって、年間コストは大きく変わります。
ただし、ここで分けて考えたいのが「社会保険料を除いた運営費」と「社会保険料を含めた実際の負担」です。
| 運営パターン | 社会保険料を除いた年間運営費のイメージ | 向いている人 |
|---|---|---|
| できるだけ自力で運営する | 10万円台〜 | 取引が少なく、会計処理に時間を使える人 |
| 決算・申告だけ税理士に依頼する | 20万円〜40万円程度 | 日々の記帳は自分でできるが、申告は専門家に任せたい人 |
| 顧問契約で定期的に相談する | 40万円以上になることもある | 役員報酬、社会保険、消費税、複数所得の判断が必要な人 |
この表は、あくまで社会保険料を除いた運営費の目安です。
役員報酬を支払う場合は、社会保険料が加わる可能性があります。代表者1人のマイクロ法人であっても、法人として社会保険の適用事業所に該当するか、代表者本人が被保険者になるかを確認しなければなりません。
つまり、「マイクロ法人は年間10万円台で維持できる」と単純に考えるのは危険です。
維持費を見るときは、法人住民税や会計ソフト代だけでなく、役員報酬、社会保険料、税理士費用、消費税、そして自分の作業時間まで含めて判断しましょう。
「最低維持費」だけを見ると安く見えても、役員報酬や社会保険料が加わると負担感は変わります。設立前に年間コストをまとめて試算しておきましょう。
マイクロ法人の維持費は、大きく分けると「赤字でもかかる費用」と「運営状況によって増える費用」があります。
法人住民税の均等割は、マイクロ法人の代表的な固定費です。
法人税は利益が出たときに発生します。一方で、法人住民税の均等割は赤字でもかかります。つまり、売上がほとんどない年でも、法人を維持しているだけで発生する費用です。
最低額として年7万円程度が目安にされることがありますが、金額は法人の所在地、資本金、従業者数などによって変わります。原稿やシミュレーションで金額を出す場合は、必ず自治体の情報に合わせて確認しましょう。
マイクロ法人で見落とされやすいのが、社会保険料です。
株式会社や合同会社などの法人は、代表者1人の会社であっても社会保険の適用事業所に該当する可能性があります。代表者に役員報酬を支払う場合は、健康保険・厚生年金保険の対象になるかを確認しておく必要があります。
ここで大切なのは、社会保険料を「法人の会社負担分」だけで見ないことです。
代表者1人のマイクロ法人では、会社負担分も本人負担分も、最終的には自分のキャッシュフローに影響します。法人の損益計算上は会社負担分が費用になりますが、個人の手取りまで考えるなら、本人負担分も無視できません。
たとえば、役員報酬を低く設定すれば、社会保険料を抑えやすくなる場合があります。ただし、生活費とのバランス、将来の年金、給与所得控除、税務上の役員報酬ルールも一緒に考える必要があります。
「社会保険料を下げたいから役員報酬を低くする」という発想だけで決めてしまうと、別のところで不都合が出ることがあります。
マイクロ法人を運営するなら、会計ソフトの利用も現実的にはほぼ必要になります。
個人の家計簿のように、売上と経費をざっくり記録すればよいわけではありません。法人として帳簿を作り、決算書を作成し、法人税や地方税などの申告につなげる必要があります。
会計ソフト代は、年間で数万円程度を見込んでおくとよいでしょう。プランによっては、請求書発行、口座連携、電子帳簿保存法対応などの機能も含まれます。
取引件数が少ないうちは自分で処理できることもありますが、副業収入、不動産収入、法人契約の売上などが混ざると、処理の判断が難しくなります。
マイクロ法人の維持費の中で、金額差が出やすいのが税理士費用です。
税理士に依頼する範囲は、大きく分けると次の3つです。
費用だけを抑えるなら、決算・申告だけ依頼する方法もあります。ただし、高収入サラリーマンがマイクロ法人を作る場合は、単なる申告作業だけで済まないことも少なくありません。
役員報酬をいくらにするか。社会保険料はどう変わるか。個人事業と法人をどう切り分けるか。消費税やインボイスはどう考えるか。
こうした判断は、設立後ではなく設立前に詰めておいたほうが安全です。
税理士費用は、単なる「維持費」として見るより、判断ミスを防ぐための費用として考えたほうが実態に近いでしょう。
そのほかにも、法人を維持するための細かな費用があります。
たとえば、法人口座の利用料、振込手数料、バーチャルオフィス代、法人用の電話番号、郵送費、電子契約サービス、クラウドストレージなどです。
金額だけ見れば小さいものもありますが、毎月積み上がると無視できません。
マイクロ法人を作る前に、「最低限必要なもの」と「あると便利だが後回しでよいもの」を分けておくと、無駄な固定費を増やさずに済みます。
マイクロ法人を検討するときは、毎年の維持費だけでなく、設立時の初期費用も見ておきましょう。
法人を作るには、定款の作成、登録免許税、公証役場での手続き、印鑑や各種書類の準備などが必要です。株式会社か合同会社かによっても、初期費用は変わります。
一般的には、株式会社よりも合同会社のほうが設立費用を抑えやすいです。そのため、1人で小さく法人を持つ目的であれば、合同会社を選ぶケースもあります。
ただし、初期費用が安いからといって、必ず合同会社がよいとは限りません。取引先からの見え方、将来的な出資や事業売却、採用、金融機関との関係などを考えるなら、株式会社のほうが合う場合もあります。
また、設立費用を数万円抑えても、年間維持費や税務判断で失敗すれば、結果的には高くつきます。
設立形態は、「いくらで作れるか」だけでなく、「何のために法人を持つのか」から逆算して決めるべきです。
マイクロ法人を作るかどうかは、維持費の金額だけでは判断できません。
見るべきなのは、法人化によって得られるメリットから、維持費や追加負担を差し引いたあとに、実質的にプラスになるかどうかです。
考え方は、次のように整理できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法人化によるメリット | 税負担の調整、法人契約、資金管理、事業拡大のしやすさなど |
| 差し引く費用 | 法人住民税、税理士費用、会計ソフト代、事務コスト |
| 追加で見る負担 | 社会保険料の増加分、消費税負担、本人の作業時間 |
| 最終判断 | 個人のままより手取りや将来の選択肢が増えるか |
もう少し簡単に言えば、次の式で考えると分かりやすいです。
法人化によるメリット
− 法人住民税の均等割
− 税理士費用
− 会計ソフト・事務コスト
− 社会保険料の増加分
− 消費税負担
− 自分の作業時間コスト
= 実質的な損益
たとえば、法人化によって税金が年間30万円下がる見込みでも、法人住民税、税理士費用、会計ソフト代、社会保険料の増加分を合計して40万円かかるなら、手取りベースでは得とは言えません。
反対に、税負担の調整だけでなく、法人契約が取れる、経費管理がしやすくなる、将来的に事業売却や資産管理につながるといったメリットがあるなら、単年の維持費だけで判断しないほうがよい場合もあります。
大事なのは、「税金が下がるか」ではなく、「維持費を差し引いても、個人と法人を合わせた全体で有利になるか」です。
損益ラインは、節税額だけでは判断できません。法人に残る資金と代表者個人の手取りを合わせて、実質的にプラスかどうかを確認しましょう。
マイクロ法人では、法人と代表者が実質的に一体のように感じられるかもしれません。
しかし、税務や会計、社会保険の手続きでは、法人と個人は別々に扱われます。このズレを理解していないと、損益の判断を誤りやすくなります。
| 見る場所 | 代表的な項目 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| 法人側 | 法人住民税、税理士費用、会計ソフト、会社負担分の社会保険料 | 法人に利益や資金が残るか |
| 個人側 | 役員報酬、本人負担分の社会保険料、所得税・住民税 | 個人の手取りが増えるか |
| 全体 | 法人に残る資金+個人の手取り | 個人のままより有利か |
たとえば、法人側に利益が残っていても、個人の手取りが減って生活費が足りなくなるなら、設計としては無理があります。
反対に、個人の手取りを増やすために役員報酬を高くしすぎると、社会保険料や所得税・住民税の負担が増え、法人に資金が残りにくくなります。
マイクロ法人は、法人の利益だけを見ても、個人の手取りだけを見ても判断できません。両方を合わせて見る必要があります。
年収2,000万円前後のサラリーマンがマイクロ法人を考える場合、最も大事なのは「維持費が安いか」ではありません。
見るべきなのは、維持費を払ってもなお、税金・社会保険料・手取り・将来の選択肢の面でメリットがあるかどうかです。
会社員の所得税は、所得が高くなるほど税率が上がる累進課税です。一方、法人税には中小法人向けの税率区分があります。
そのため、「個人で稼ぐより法人にしたほうが税率が低い」と説明されることがあります。
ただ、この比較だけで法人化を判断するのは危険です。
中小法人の年800万円以下の所得部分には、法人税率15%の区分があります。ただし、実際には法人税だけでなく、地方法人税、法人住民税、事業税なども関わります。
さらに、法人に残したお金を個人で使うには、役員報酬や配当などの形で取り出す必要があります。そのときには、個人側の所得税・住民税・社会保険料も関係します。
法人税率だけを見れば有利に見えても、最終的な個人の手取りでは大きな差が出ないこともあります。
高収入サラリーマンの場合は、「法人で利益を出す」「法人に利益を残す」「個人に移す」のそれぞれで税金や社会保険がどう変わるかを分けて考えましょう。
マイクロ法人を検討する余地が出やすいのは、本業給与以外に継続的な収入がある人です。
たとえば、次のようなケースです。
こうした収入が継続的にあるなら、法人を通すことで経費管理や契約、資金の残し方に幅が出る可能性があります。
ただし、個人で保有している株式や投資信託の利益を、後から簡単に法人へ移せるわけではありません。法人で資産管理を行う場合は、資産の取得主体、移転方法、税務上の扱いを個別に確認する必要があります。
また、個人で行っている事業と法人の事業をどう分けるかも重要です。実態が曖昧なまま、都合のよい経費だけ法人に寄せるような形にすると、税務上問題になるおそれがあります。
法人を作る前に、「法人で何を行うのか」「個人の収入とどう切り分けるのか」を明確にしておきましょう。
マイクロ法人でよくある失敗は、節税効果だけを見て、維持費を十分に見ていないケースです。
たとえば、法人化によって税金が年間20万円下がる見込みでも、法人住民税、会計ソフト、税理士費用、社会保険料の増加分を合わせると、それ以上のコストになる可能性があります。
この状態では、手間だけ増えて、手取りはむしろ減ります。
マイクロ法人を作る前には、少なくとも次の3つを試算しておきたいところです。
「税金が下がるか」だけではなく、「維持費を差し引いても得か」を見ることが大切です。
高収入サラリーマンほど、法人税率だけの比較では判断を誤りやすくなります。税金・社会保険・維持費・勤務先リスクをまとめて見ることが重要です。
マイクロ法人では、役員報酬を給与として受け取るため、給与所得控除を使える場合があります。
ただし、給与所得控除の金額は年度によって変わります。古い記事やシミュレーションでは、「給与収入162.5万円以下なら給与所得控除は55万円」と説明されていることがありますが、令和7年分以降は給与収入190万円までの給与所得控除額が65万円とされています。
このように、税制は年度によって変わります。
過去の情報をもとにシミュレーションすると、判断を誤ることがあります。特にマイクロ法人は、数万円から数十万円の差で損益が変わりやすい仕組みです。
設立前の試算では、必ず最新の制度を前提にしましょう。
マイクロ法人を作るときは、消費税の扱いも確認しておきたいところです。
新設法人は、基準期間がないため、原則として消費税の免税事業者になり得ます。ただし、資本金が1,000万円以上の場合など、免税にならないケースもあります。
さらに、適格請求書発行事業者、いわゆるインボイス発行事業者として登録する場合は、基準期間の課税売上高にかかわらず消費税の納税義務が生じます。
BtoBの副業やコンサルティングで法人を使う場合、取引先からインボイス登録を求められることがあります。取引先が仕入税額控除を重視する場合、インボイスを発行できるかどうかが契約に影響することもあるためです。
つまり、「新設法人だから消費税はしばらく関係ない」と単純に考えるのは危険です。
インボイス登録をするかどうかで、消費税の納税や経理処理の負担が変わります。維持費を考えるときは、消費税の影響も含めて試算しておきましょう。
会社員がマイクロ法人を持つこと自体は可能です。
ただし、本業がある人には、個人事業主とは違う注意点があります。特に高収入サラリーマンの場合は、勤務先の規定や社会保険の手続きが絡みやすいため、事前確認が欠かせません。
まず確認すべきなのは、勤務先の就業規則です。
副業が認められている会社でも、法人代表や役員就任については別のルールがある場合があります。競業避止義務、利益相反、情報管理、職務専念義務などに触れるおそれがないかも見ておきましょう。
「副業OK」と書かれているからといって、法人代表になっても問題ないとは限りません。
特に金融、コンサル、士業、上場企業、外資系企業などでは、社内規定やコンプライアンスの確認が厳しいこともあります。設立前に、少なくとも社内ルール上のリスクは確認しておくべきです。
会社員がマイクロ法人から役員報酬を受け取り、社会保険の対象になる場合、二以上事業所勤務の手続きが必要になることがあります。
二以上事業所勤務では、複数の事業所で受ける報酬月額を合算して標準報酬月額を決め、保険料を按分します。その結果、保険料額などがそれぞれの事業所へ通知される仕組みがあります。
つまり、役員報酬や社会保険の状況によっては、勤務先に何らかの形で知られる可能性があります。
もちろん、すべてのケースで必ず勤務先に知られるわけではありません。しかし、「法人を作っても会社には絶対にバレない」と考えるのは危険です。
勤務先に知られる経路は、住民税だけではありません。社会保険の手続きも含めて確認する必要があります。
勤務先との関係が気になる場合は、税理士だけでなく、必要に応じて社会保険労務士にも確認しておくと安心です。
すでに個人事業で副業をしている人が、同じような内容でマイクロ法人を作る場合も注意が必要です。
個人と法人は別人格ですが、実態として同じ人が同じ仕事をしている場合、収入や経費の切り分けが曖昧になりやすくなります。
たとえば、売上は法人に入れる一方で、都合のよい経費だけ個人に残す、といった処理は不自然に見られるおそれがあります。
法人を使うなら、契約主体、請求書、入金口座、業務内容、経費負担を整理しておきましょう。形式だけ法人を作っても、実態が伴っていなければ、税務上のリスクは残ります。
役員報酬は、会社員の給与のように毎月なんとなく変えられるものではありません。
税務上、役員給与を損金に算入するには、定期同額給与などのルールがあります。ざっくり言えば、毎月同じ時期に同じ金額を支給する形が基本です。
そのため、「今月は利益が出たから役員報酬を増やす」「社会保険料を下げたいから途中で大きく減らす」といった調整は、税務上不利になることがあります。
役員報酬は、設立時点でかなり重要な設計項目です。年間利益、生活費、社会保険料、給与所得控除、法人に残したい資金を見ながら決める必要があります。
マイクロ法人を作ると、家族に給与や外注費を支払うことを考える人もいます。
ただし、家族に支払えば何でも経費になるわけではありません。
実際に業務を行っていること、その業務内容に対して金額が妥当であることを説明できる必要があります。節税目的だけで形式的に支払うと、税務上問題になるおそれがあります。
家族に役員報酬、給与、外注費を支払う場合は、業務内容、作業時間、成果物、支払金額の根拠を整理しておきましょう。
マイクロ法人の維持費は、工夫すればある程度抑えられます。
ただし、削ってよい費用と、削るとリスクが増える費用があります。安くすることだけを目的にすると、あとで修正コストのほうが高くなることもあります。
初期費用を抑えたい場合、合同会社を選ぶ方法があります。
合同会社は、株式会社に比べて設立手続きが簡素で、設立費用も抑えやすいです。1人で小さく法人を持つ目的なら、合同会社で十分なケースもあります。
一方で、将来的に外部から出資を受けたい、採用や営業上の見え方を重視したい、株式を使った設計を考えたい場合は、株式会社のほうが合うこともあります。
設立費用だけでなく、将来の使い方まで見て判断しましょう。
オフィスを借りると、毎月の固定費が一気に増えます。
マイクロ法人であれば、自宅やバーチャルオフィスを活用して、固定費を抑える方法があります。郵便物の受け取り、法人登記、会議室利用など、必要な機能だけを選べば、コストを抑えやすくなります。
ただし、自宅住所を登記すると、住所が公開される点には注意が必要です。プライバシーを重視する場合は、バーチャルオフィスの利用も検討しましょう。
また、バーチャルオフィスは便利な一方で、金融機関の法人口座開設、許認可が必要な事業、取引先からの信用面で確認が必要になることがあります。住所を安く用意できるかだけでなく、自分の事業で使って問題ないかを見ておきましょう。
税理士費用を抑えるうえで効果が大きいのは、日々の記帳を整えておくことです。
領収書や請求書がバラバラ、入出金の理由が不明、個人の支出と法人の支出が混在している状態では、税理士の作業量が増えます。結果として、費用も上がりやすくなります。
会計ソフトで口座やカードを連携し、毎月こまめに処理しておけば、決算前に慌てずに済みます。
特に会社員の場合、本業が忙しく、経理処理を後回しにしがちです。年に一度まとめて整理しようとすると、何の支出だったか思い出せないこともあります。
会計は、こまめに整えるほど安く、正確になります。
税理士費用を抑えたい場合は、依頼範囲を明確にしましょう。
たとえば、日々の記帳は自分で行い、決算・申告だけ依頼する方法があります。一方で、役員報酬や社会保険、消費税、個人と法人の所得設計まで相談したいなら、顧問契約のほうが合う場合もあります。
大事なのは、何を自分で行い、何を専門家に任せるかを決めることです。
すべて自分でやれば費用は抑えられますが、判断ミスのリスクは高くなります。反対に、すべて任せれば楽になりますが、費用は上がります。
マイクロ法人では、費用と安心のバランスを取ることが重要です。
維持費を抑えることは大切ですが、節約してはいけない費用もあります。
たとえば、次のような論点がある場合は、自己判断だけで進めないほうがよいでしょう。
このあたりは、数万円の相談料を惜しんだ結果、税金や社会保険料、勤務先との関係で大きな問題になることがあります。
維持費を抑えることは大切ですが、役員報酬・社会保険・消費税・勤務先との関係など、後から直しにくい判断は専門家に確認したほうが安心です。
維持費を下げるなら、まず固定費や作業効率を見直す。税務判断そのものは、必要なところで専門家に相談する。この切り分けが現実的です。
マイクロ法人は、合う人には有効な選択肢です。
ただし、節税目的だけで作ると、維持費や手続きの負担が想定以上に重くなることがあります。自分が検討すべき状況なのか、まずは大まかに整理してみましょう。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 本業給与だけで、副業収入がほとんどない | 慎重に考えるべき |
| 継続的なBtoB副業収入がある | 検討余地あり |
| 取引先から法人契約を求められる | 検討余地あり |
| 不動産収入など、継続的な収入管理が必要 | 個別に検討 |
| 勤務先の副業・役員就任規定が厳しい | かなり慎重に確認 |
| 役員報酬と社会保険料の設計が分からない | 設立前に相談推奨 |
| 節税だけが目的 | 失敗しやすい |
特に、本業給与だけで副業収入がほとんどない場合は、マイクロ法人を作ってもメリットが出にくいことがあります。
一方で、継続的な副業収入や法人契約のニーズがあり、今後も事業として育てていく見込みがあるなら、法人化を検討する余地があります。
ただし、どちらの場合でも、設立前の試算は必要です。
マイクロ法人は、自分で調べながら設立することもできます。
ただし、高収入サラリーマンの場合、税金だけでなく社会保険や勤務先リスクも絡みます。次のようなケースでは、設立前に税理士へ相談したほうが安全です。
本業の給与が高い人は、それだけで税率や社会保険料の影響が大きくなります。
そこに副業や不動産収入が加わると、個人のままがよいのか、法人化したほうがよいのかを単純には判断できません。
特に、複数の収入源がある人は、所得の種類ごとに税務上の扱いが変わります。どの収入を法人に入れるべきか、法人に入れるべきではない収入は何か、事前に整理しておく必要があります。
マイクロ法人では、役員報酬の設定がとても重要です。
役員報酬が高ければ、個人にお金を移しやすくなりますが、社会保険料や所得税・住民税の負担も増えます。低くすれば社会保険料を抑えやすくなりますが、生活費や将来の年金、給与所得控除とのバランスを考える必要があります。
しかも、役員報酬は原則として期中に自由に変えにくいものです。
設立後に「やっぱりこの金額では合わなかった」と気づいても、すぐに調整できないことがあります。最初の設計が重要です。
すでに個人事業をしている人が、マイクロ法人も作るケースは珍しくありません。
ただし、個人と法人で同じような事業をしていると、収入や経費の切り分けが問題になりやすいです。
どの契約を法人で受けるのか。個人の既存契約はどうするのか。経費はどちらで負担するのか。家族への給与や外注費をどう扱うのか。
このあたりは、設立前に整理しておかないと、あとで会計処理がかなり面倒になります。
会社員がマイクロ法人を持つ場合、勤務先との関係は避けて通れません。
副業規定、役員就任、競業避止義務、情報管理、社会保険の手続きなど、確認すべきことはいくつもあります。
税理士は税務の専門家ですが、必要に応じて社会保険労務士や弁護士と連携して確認したほうがよいケースもあります。
「会社にバレない方法」を探すよりも、「ルール上どこにリスクがあるか」を先に確認するほうが現実的です。
マイクロ法人は、規模が小さいからといって税務リスクがないわけではありません。
役員報酬、家族への給与、交際費、旅費交通費、自宅兼事務所の費用、個人と法人の資金移動などは、説明できる形で処理しておく必要があります。
「小さい法人だから大丈夫」と考えて雑に処理してしまうと、後から修正が必要になることがあります。
税理士に相談する意味は、単に申告書を作ってもらうことだけではありません。税務署に説明できる形で、日々の処理を整えることにもあります。
マイクロ法人を作る前に税理士へ相談するなら、次のような点を確認しておくと話が進みやすくなります。
税理士に相談する目的は、「法人を作るべき」と背中を押してもらうことではありません。
税理士への相談は、法人化を前提に進めるためだけではありません。作らないほうがよいケースを見極め、余計な維持費を避けるためにも有効です。
むしろ、作らないほうがよいケースを早めに見極めることにも意味があります。
マイクロ法人は、一度作ると毎年の手続きと維持費が発生します。設立前に損益ラインを確認しておけば、あとから「思ったより得ではなかった」と後悔するリスクを減らせます。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
法人の事業に必要な費用であれば、原則として法人の経費として処理できるものがあります。
たとえば、会計ソフト代、税理士費用、法人用の通信費、事業に使う備品などです。
ただし、個人的な支出は法人の経費にはできません。代表者1人の法人では、個人の支出と法人の支出が混ざりやすいため、支払い口座やクレジットカードを分けて管理することが大切です。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
かかります。
代表的なのは法人住民税の均等割です。法人税は利益が出たときに発生しますが、法人住民税の均等割は赤字でも発生します。
また、会計ソフト代、税理士費用、法人口座、バーチャルオフィスなどを使っていれば、それらの費用もかかります。
売上がない期間が続くなら、法人を維持する意味があるかどうかも見直したほうがよいでしょう。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
運営自体は可能です。
ただし、法人の申告は個人の確定申告より複雑です。法人税、法人住民税、事業税、消費税、源泉所得税、社会保険など、関係する手続きが増えます。
取引が少なく、会計処理に慣れている人なら、自分で進められることもあります。一方で、役員報酬、社会保険、消費税、個人と法人の切り分けが絡む場合は、税理士に相談したほうが安全です。
税理士なしでできるかどうかより、「自己判断で間違えたときの影響が大きいか」で考えるとよいでしょう。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
役員報酬を支給していない場合、社会保険料が発生しない可能性はあります。
ただし、「役員報酬ゼロなら必ず社会保険の手続きが不要」と単純に考えるのは危険です。法人が強制適用事業所に該当することと、代表者本人が被保険者になるかどうかは分けて確認する必要があります。
報酬の有無、勤務実態、手続きの要否については、年金事務所や社会保険労務士に確認するのが安全です。
社会保険料だけを見て役員報酬を決めるのではなく、税金、手取り、事業計画を含めて考えましょう。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
年収だけでは判断できません。
年収2,000万円前後の会社員でも、本業給与だけで副業収入がほとんどないなら、マイクロ法人のメリットは出にくい場合があります。反対に、年収だけ見ればそこまで高くなくても、副業や不動産収入が継続的にあるなら、法人化を検討する余地があります。
見るべきなのは、年収ではなく次の点です。
「年収いくら以上なら作るべき」と決めるより、自分の収入構造で試算することが大切です。
マイクロ法人の維持費は、法人住民税、会計ソフト代、税理士費用、社会保険料などを含めて考える必要があります。
最低限の固定費だけなら小さく見えるかもしれません。しかし、役員報酬や社会保険、消費税、税理士費用まで含めると、想定より負担が大きくなることがあります。
特に高収入サラリーマンの場合、法人化の判断は単純ではありません。
個人の所得税率と法人税率を比べるだけでは不十分です。本業の給与、副業収入、役員報酬、社会保険料、勤務先の副業規定まで含めて、最終的な手取りとリスクを見なければなりません。
マイクロ法人を設立する前に、少なくとも次の点は確認しておきましょう。
マイクロ法人は、合う人には有効な選択肢です。ただし、節税目的だけで作ると、維持費や手続きの負担が想定以上に重くなることがあります。
まずは、個人のまま続けた場合と、法人化した場合の税金・社会保険料・維持費を比較してみましょう。
自己判断が難しい場合は、会社員の副業や複数所得に詳しい税理士へ相談するのがおすすめです。設立後に悩むより、設立前に損益ラインを確認しておくほうが、余計なコストを避けやすくなります。
税金や社会保険料で手取りが増えていきづらい、日本の全サラリーマンのために様々な節税対策に精通した税理士法人。「年収にあった控除対策」「出口戦略のある不動産投資」現状の課題を解決するための策は多様にあるので、数万円でも節税したいと考えているならば、お気軽に無料相談や確定申告代行(基本プラン22,000円)をご依頼ください。