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副業法人化すべき?サラリーマンの節税メリットと注意点

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目次

サラリーマンの副業を法人化させると節税につながる?
メリットとリスクを解説

副業が軌道に乗り、収入が増えてくると、「法人化」という選択肢が現実味を帯びてきます。特に副業所得が伸び、税金の負担が増えてきたと感じるサラリーマンの方にとって、法人化は節税や事業拡大の可能性を秘めています。しかし、その一方で、設立・維持コスト、事務負担の増加、そして極めて重要な「社会保険料の負担増」、さらに「勤務先に知られてしまうのではないか」というリスクも無視できません。

このページでは、副業を持つサラリーマンが法人化を検討する際に本当に知っておくべき、メリット・深刻なデメリット、最適なタイミング(ただし状況は変化)、具体的な手続き、そして現実的なリスク管理の方法まで分かりやすく解説します。

税金(節税効果)だけでなく、コスト、特に社会保険料、そしてリスクを冷静に比較し、あなたにとって後悔のない意思決定をするための情報をまとめました。法人化という次のステップに進むべきか、メリットとデメリットを正確に理解した上で、じっくりと検討していきましょう。

まず把握!法人化の仕組みと特徴

法人化とは、簡単に言えば、個人が行ってきた事業に「法人格」という独立した人格を与えることです。これにより、事業に関する権利や義務は、個人ではなく「会社」が主体となって負うことになります。まずは、個人事業主との違いと、法人格がもたらす変化のポイントを掴みましょう。

個人事業主との違い

税率・責任・会計が変わるポイント

個人事業主と法人では、主に「税金」「責任の範囲」「会計処理」の3つの側面で大きな違いがあります。

税金面では、個人事業主の所得には所得税と住民税がかかり、本業の給与所得と副業の所得を合算した総所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」が適用されます(所得税率は5%~45%、住民税率は約10%)。一方、法人の利益(所得)には法人税などが課されます。中小法人の場合、法人税率は所得年800万円以下の部分が15%、800万円超の部分が23.2%です(別途、地方法人税等がかかる)。

この税率構造だけを見ると、個人の総所得がある水準を超えると、法人税率の方が低くなる可能性があります。これが、法人化による節税効果が期待される主な理由です。しかし、注意が必要です。本業の給与が高い人は、副業所得が少なくても高い税率区分になる可能性があります。また、後述する社会保険料の負担増を考慮すると、単純な税率比較だけでは有利不利は判断できません。税金と社会保険料は複雑に影響し合うため、本当にメリットがあるかは個別具体的な状況によるのです。

責任の範囲も異なります。個人事業主は、事業上の負債や損害賠償責任を個人として無限に負います。一方、株式会社や合同会社のような法人の場合、出資者は原則として出資額の範囲内でしか責任を負わない「有限責任」となります(ただし、中小企業では経営者が会社の借入に個人保証をすることが多く、その場合は実質的に無限責任に近い状態になることもあります)。

会計処理も、法人は個人事業主よりも厳格になります。個人事業主(青色申告で最大65万円控除を受ける場合)でも複式簿記による記帳は必要ですが、法人はさらに厳格な会計基準や会社法上の計算書類作成義務などが課され、一般的に会計・税務の負担は増大します。帳簿の信頼性を担保する必要があるため、会計ソフトの導入や税理士への依頼が一般的です。

社会的信用と資金調達

法人格を持つことは、事業の「顔」が変わることを意味します。一般的に、法人は個人事業主よりも社会的信用度が高いと見なされる傾向があります。これは、登記によって会社情報が公示され、会計処理も厳格に行われるため、事業の透明性が増すからです。

この社会的信用の向上は、ビジネス上のメリットに繋がる可能性があります。例えば、大企業の中には取引相手を法人に限定しているケースがありますし、金融機関からの融資(資金調達)を受ける際にも、個人事業主より有利になることがあります(ただし最終的には事業内容や財務状況が重視されます)。

将来的に事業を大きくしたい、あるいは特定の企業と取引したいと考えている場合、法人化は有効な手段となり得ます。また、従業員を雇用する際にも、法人の方が安心感を与えやすいという側面もあります。

法人化のメリットとデメリットを比較

法人化を検討する上で、メリットとデメリットを天秤にかけることは非常に重要です。特にサラリーマンの場合、本業との兼ね合いや特有のリスクも考慮に入れる必要があります。ここでは、具体的な事例を交えながら、その実態に迫ります。メリットだけに目を向けず、デメリット、特に社会保険料負担増のリスクを十分に理解してください。

副業法人化のメリット

法人化の魅力として語られるのが「節税効果」の可能性です。個人の所得税・住民税は累進課税ですが、法人の利益には法人税などが課されます。

具体的には、以下のような節税策が考えられます(ただし、それぞれに条件や制約があります)。

役員報酬による所得分散

自分自身や生計を共にする家族を役員とし、妥当な範囲で給与(役員報酬)を支払うことで、法人の利益を個人の給与所得に分散できます。給与所得控除を活用できるため、税負担を抑えられる場合があります。ただし、本業で既に給与所得控除が差し引かれている場合は追加効果は発生しない点は注意が必要です。

経費として認められる範囲の拡大

個人事業主では経費にしにくい費用も、法人では損金として認められることがあります。例えば、生命保険料の一部(役員向け保険、要件あり)、役員への通勤手当、社宅家賃の一部(役員負担割合の規定あり)、退職金の準備(損金算入には一定の要件・限度額あり)などが挙げられます。

赤字の繰越期間の長さ

法人(青色申告)は事業で生じた赤字(欠損金)を原則10年間繰り越し、将来の黒字と相殺できます(個人事業主は原則3年)。収益変動が大きい事業では有利になる可能性があります。

消費税の免税

新設法人(資本金1,000万円未満等)は、原則として設立後最大2年間は消費税の納税が免除される可能性がありましたが、インボイス制度導入により状況が大きく変わりました。詳細は後述します。

これらのメリットは、副業の所得水準や事業内容、そして最も重要な社会保険料の負担増などを総合的に考慮して初めて意味を持ちます。例えば、「副業所得700万円の場合、税負担が160万円から120万円に軽減される可能性」といった試算を見かけることがありますが、※これは社会保険料の負担増などを考慮しない、非常に簡易的な試算例です。実際の税負担は個別の状況で大きく異なります。

副業法人化のデメリット

メリットに目を奪われがちですが、法人化には深刻なデメリットが存在し、特に社会保険料の負担増は法人化の判断を左右する最大の要因となり得ます。

設立コスト

まず、設立コストがかかります。株式会社の場合、定款認証手数料や登録免許税などで最低でも約20万円以上(電子定款利用時)、合同会社でも約6万円以上の実費が必要です。専門家に依頼する場合は、さらに報酬が加わります。

維持コストと事務負担の増加

次に、維持コストと事務負担の増加です。法人は、たとえ赤字であっても法人住民税の均等割(最低でも年間7万円程度)を納付する必要があります。また、会計処理や税務申告は個人事業主よりも格段に複雑になり、多くの場合、税理士への依頼が不可欠となります。その顧問料も年間数十万円単位で発生します。帳簿付けや各種手続きにかかる時間的な負担も無視できません。

社会保険料の増加

そして、最も注意すべきなのが社会保険料の負担増です。法人は、役員や従業員に対して社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が原則として義務付けられています。本業で既に社会保険に加入しているサラリーマンが、自身を役員として設立した法人から常勤役員として相応の報酬を受け取る場合、原則として設立した法人でも社会保険に加入(二重加入)し、保険料を支払う必要があります。

この「二重加入」という表現は、保険料が本業と副業の両方で社会保険に加入することで、二重に課されるという誤解がしばしばあります。ですが実際には、報酬を合算して一元的に管理する仕組みとなっており、保険料は合算した標準報酬に基づいて一括で算出されます(なお、加入手続き上は「二以上事業所勤務届」の提出が必要です)。

この保険料は、本業の給与と副業の役員報酬を合算した金額に基づいて計算され、法人と個人で折半して負担します。結果として、法人負担分と個人負担分を合わせたトータルの保険料負担は、法人化前よりも大幅に増加するケースがほとんどです。場合によっては、法人化による税金の節約額よりも、社会保険料の増加額の方がはるかに大きくなり、結果的に手取り収入が減ってしまうことも十分にあり得ます。法人化を検討する際には、税金だけでなく、この社会保険料の増加額を正確にシミュレーションすることが絶対に不可欠です。ご自身の状況で本当にメリットがあるのか、専門家と一緒に慎重に検証することが後悔しないための鍵となります。

勤務先バレ問題

サラリーマンにとって最大の懸念事項が、「法人化したことが勤務先に知られてしまうのではないか」というリスクでしょう。就業規則では他社の役員就任を禁止している企業が多く、副業に関しては制限が緩和されつつあります。ただし無断での法人設立が発覚した場合、懲戒処分の対象となる可能性があります。

発覚する主な経路としては、

住民税の通知

副業所得が増えると住民税額も増えます。通常、住民税は給与から天引き(特別徴収)されるため、会社に届く住民税の決定通知書で所得の増加が分かってしまう可能性があります。(後述しますが、普通徴収への切り替えは困難な場合が多いです。)

社会保険の手続き

法人で社会保険に加入する場合、「二以上事業所勤務届」などの手続きが必要となり、その過程で年金事務所から本業の会社へ通知が行われるため、極めて発覚しやすい経路です。

登記情報

会社の設立登記情報(商号、本店所在地、役員の氏名・住所など)は誰でも閲覧可能です。

その他

同僚への口外、SNSへの投稿、自宅への法人関連書類の郵送など、偶発的なきっかけ。

これらのリスクを完全にゼロにすることは困難です。最も確実な方法は、事前に勤務先の就業規則を確認し、許可を得ることです。

最適タイミングを見極める【収益・売上・戦略】チェック

「いつ法人化するのがベストなのか?」これは多くの人が悩むポイントです。単一の正解はありませんが、いくつかの判断基準があります。収益、売上、そしてあなたの事業戦略の3つの側面から見ていきましょう。ただし、特に消費税に関する状況は近年大きく変化しています。

副業所得500〜800万円ラインが語られる理由落とし穴

よく「副業の所得(収入から経費を引いた利益)が500万円や800万円を超えたら法人化を検討すべき」と言われます。これは、個人の所得税・住民税の税率が、本業と副業の合算所得に応じて上がり、このあたりの水準から、法人税率の方が理論上有利になる可能性が出てくるためです。

しかし、これはあくまで非常に大雑把な目安であり、以下の重大な落とし穴があります。

したがって、「500万円超えたから即法人化!」と単純に考えるのは極めて危険です。この所得ラインは、詳細なシミュレーションを開始するきっかけ程度に捉え、必ずご自身の具体的な収入状況、経費、本業の給与、そして何よりも社会保険料負担増を踏まえた詳細なシミュレーションを行ってください。税金と社会保険料は複雑に影響し合うため、最適なバランスを見極めるには専門的な視点が欠かせません。

消費税1,000万円基準と免税期間を賢く使う方法

所得とは別に、法人化のタイミングを考える上で重要なのが「消費税」でした。個人事業主は、原則として2年前の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務者(課税事業者)になります。一方、新たに設立された法人(資本金1,000万円未満等)は、原則として設立から最大2年間は消費税の納税が免除される(免税事業者)というルールがありました。

しかし、2023年10月から始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、この状況は大きく変わりました。

インボイス発行の必要性

副業の取引先(特に企業)が仕入税額控除を受けるために、あなたに適格請求書(インボイス)の発行を求めてくる場合があります。

免税事業者は発行不可

免税事業者のままでは、インボイスを発行できません。

課税事業者選択の必要性

取引を継続するため、または新規取引獲得のためにインボイス発行が必要な場合、設立当初からあえて課税事業者を選択し、適格請求書発行事業者として登録せざるを得ないケースが多くなっています。この場合、法人設立1期目から消費税納税義務が発生する可能性があり、従来のような免税期間を活用した節税戦略が機能しづらくなります。

免税メリットの喪失

この場合、新設法人であっても設立1年目から消費税の納税義務が生じ、最大2年間の消費税免税メリットは享受できなくなります。

したがって、現在では、単に売上1,000万円の基準だけで法人化タイミングを判断するのは現実的ではありません。あなたの事業がインボイス発行を必要とするかどうかが、消費税に関する判断の鍵となります。消費税免税期間の活用を主目的とした法人化戦略は、有効性が大幅に低下していると認識してください。

事業拡大・取引要件・資金調達で早期法人化が光るケース

税金や消費税の基準だけでなく、事業戦略上の理由から、所得や売上がそれほど高くなくても法人化を選択するケースもあります。こちらは現在でも有効な判断基準です。

これらのケースでは、税務上のメリットがまだ小さくても、事業の成長や継続のために法人化が戦略的に有効な選択肢となり得ます。

法人設立プロセスをざっくり解説
株式会社 or 合同会社?

いざ法人化を決意したら、次は具体的な設立手続きです。ここでは、会社の形態選びから設立ステップ、そして個人事業からの移行(法人成り)の注意点まで、概要を掴んでいきましょう。

株式会社と合同会社、サラリーマンにはどちらが向く?

日本で設立できる会社形態はいくつかありますが、副業の法人化で主に検討されるのは「株式会社」と「合同会社」です。

株式会社

合同会社

サラリーマンの副業にはどちらが向く?

一概には言えませんが、設立・維持コストを抑えたい、運営の柔軟性を重視したい場合は合同会社、将来的な拡大や信用度をより重視する場合は株式会社、という傾向があります。近年、コストの低さから合同会社を選ぶケースが増えています。

設立ステップと必要書類

会社設立の基本的な流れは以下のようになります。

  1. 基本事項の決定: 商号、事業目的、本店所在地、資本金額、役員、事業年度など。
  2. 定款の作成: 株式会社は公証役場で認証が必要。
  3. 資本金の払込み: 発起人・社員個人の口座へ。
  4. 登記書類の作成: 申請書、就任承諾書、印鑑証明書など。
  5. 登記申請: 法務局へ。
  6. 設立後の諸手続き: 税務署、自治体、年金事務所などへ届出。

「自分でやる」か「専門家に依頼をするか」

自分で手続きも可能ですが、複雑で時間がかかります。専門家(司法書士、行政書士、税理士)に依頼すれば、正確かつ迅速に進められ、手間も省けます。費用はかかりますが(登記代行で数万円~十数万円程度が目安)、特に本業がある場合は依頼を検討する価値が高いでしょう。

個人事業から法人成り ― 資産・契約の引き継ぎ注意点

個人事業から法人化する場合(法人成り)は、追加で以下の点に注意が必要です。

勤務先に知られない?リスク管理の実践術

サラリーマンが副業で法人化する際、避けて通れないのが「勤務先への発覚リスク」です。ここでは、どのような経路で知られやすいのか、そしてリスクを最小限に抑えるための方法(ただし、その効果は限定的であり、推奨できない方法も含む)を探ります。繰り返しになりますが、完全にリスクをゼロにする方法はありません。

住民税・社会保険で露見しやすいパターンと回避策

住民税からの発覚

社会保険からの発覚

これらの「回避策」に頼ることはリスクが高く、根本的な解決にはなりません

登記情報・SNS・同僚 ― ヒューマンリスクを最小化するコツ

登記情報からの発覚:

SNS・同僚からの発覚(ヒューマンリスク):

就業規則を確認し許可を得る ― 最も確実かつ健全なリスク低減策

ここまで様々なリスク回避策を見てきましたが、どれも効果は限定的か、問題を含むものばかりです。 発覚リスクを最も確実に低減し、安心して事業に取り組むための最善かつ唯一健全な方法は、勤務先の就業規則を確認し、正式に許可を得ることです。

許可が得られない、相談しにくい状況もあるかもしれませんが、無許可で進めるリスク(懲戒処分等)を考えると、可能な限り正直に相談・申請することが、長期的には最善です。許可さえ得られれば、発覚リスクの心配から解放され、堂々と副業に取り組むことができます。

法人化後の運営コストと日常業務をイメージ

法人設立はスタートラインです。設立後、会社を維持・運営していくためには、継続的なコストと日常的な業務が発生します。具体的にどのようなことが必要になるのか、イメージしておきましょう。

会計ソフト・税理士・クラウド活用 ― 工数と費用のバランス

法人は、厳格な会計処理(複式簿記)と年に一度の決算・税務申告が必須です。

自分でどこまでやるか、どこから専門家やツールに頼るかで、費用と時間のバランスが変わります

二重の社会保険負担シミュレーションとキャッシュフロー

サラリーマンが法人から役員報酬を得る場合、本業と設立法人の両方で社会保険料を負担することになり、総負担額が大幅に増加する可能性が高いです。

決算月・銀行口座・内部留保 ― 小さな法人の経営術

自分は法人化すべき?
セルフチェック10問と専門家相談ガイド

ここまで様々な情報を見てきましたが、最終的に「自分は法人化すべきか?」を判断するのは簡単ではありません。ここでは、判断材料となるセルフチェックリスト(注意点あり)と、専門家への相談ポイント、そして重要な「法人化しない」という選択肢について考えます。

Yes/Noチャートで最適タイミングを判定

以下の質問にYes/Noで答えてみましょう。※これは検討項目を洗い出すための簡易的な目安です。特に税金と社会保険料の関係(質問1, 3, 8)は複雑で、個別のシミュレーション結果が最も重要です。このチャートだけで判断しないでください。

  1. 副業の年間「所得(利益)」が500万円を超える見込み、または既に超えている?
  2. 上記の所得水準が今後も継続・増加する見込みがある?
  3. 本業の給与所得と合わせた個人の所得税率が、法人税率よりも高くなっている(または近いうちになりそう)? (※ただし、これだけでは判断不可)
  4. 副業の年間「課税売上高」が1,000万円を超え、かつインボイス発行が不要な事業である? (※インボイス発行が必要なら、この基準の重要度は低い)
  5. 社会的信用度を高めて、事業をさらに拡大したいと考えている?
  6. 法人格がないと取引できない、または不利になる取引先がある?
  7. 金融機関からの融資など、まとまった資金調達を計画している?
  8. 法人化による社会保険料の負担増をシミュレーションし、それでも税メリット等が上回ると明確に判断できる?【最重要項目】
  9. 法人設立・維持にかかるコスト(年間最低7万円の均等割+専門家費用等)を負担する覚悟がある?
  10. 法人運営に伴う事務手続き(会計、税務申告など)を自分で行う、または専門家に依頼する準備ができている?

判定の目安

相談時に何を税理士に伝える?

法人化すべきかどうかの最終判断や、最適な役員報酬設定のためには、税理士などの専門家への相談が不可欠です。専門家は、複雑な情報を整理し、客観的な視点からアドバイスを提供してくれるため、安心して意思決定を行う助けとなります。相談する際には、以下の情報を準備しておくと、より具体的で的確なアドバイスやシミュレーションが得られます。

  1. 本業の収入情報: 源泉徴収票など。
  2. 副業の収支実績と見込み: 確定申告書、今後の見込み、売上高(インボイス発行の必要性も)。
  3. 家族構成と役割分担: 収入状況、副業への関与度。
  4. 将来の事業計画: 規模、投資、雇用予定など。
  5. 法人化に関する懸念事項: 特に心配な点(社会保険料、勤務先影響、コストなど)。

これらの情報をもとに、税理士は個人事業主の場合と法人化した場合(役員報酬パターン複数)の税負担・社会保険料負担を合わせたトータルコストを比較シミュレーションしてくれます。

法人化しない選択肢 ― 個人事業でもできる節税と成長戦略

法人化にはメリットがある一方、深刻なデメリットやリスク(特に社会保険料負担増と勤務先バレリスク)も伴います。すべてのサラリーマンにとって法人化が最善の選択とは限りません。むしろ、個人事業主のままでいる方が有利なケースも多いことを認識してください。

個人事業主のままでも、以下のような節税策や事業運営が可能です。

特に副業所得がそれほど高くない場合や、法人格が事業上必須でない場合、青色申告(65万円控除)を最大限活用し、小規模企業共済やiDeCoといった個人の節税制度を組み合わせることで、法人化した場合(設立・維持コスト、社会保険料負担増、複雑な事務手続き、勤務先バレリスクあり)と比較して、より少ないコストとリスクで、同等以上の手取り収入を確保できる可能性は十分にあります。 法人化は、設立・維持コストが必ず発生し、社会保険料という大きな変動要因を抱えることを忘れないでください。「法人化しない」という選択肢を積極的に検討しましょう。

まとめ

サラリーマンが副業で法人化を検討する道のりは、期待と不安が入り混じるものです。しかし、安易な判断は後悔につながりかねません。特に社会保険料の負担増は、予想以上に重くのしかかる可能性があります。情報を鵜呑みにせず、冷静に分析し、慎重に行動することが何よりも重要です。

最後に、具体的な行動指針を3つのステップでまとめます。

1.  現状分析とデメリット・リスクの再認識

2.  専門家への相談

3.  個人事業主の選択肢を含めた総合的な判断と意思決定

法人化は、副業を成長させるための一つの選択肢ですが、決して万能薬ではありません。 焦らず、メリットだけでなくデメリットやリスク(特に社会保険料)を十分に理解し、ご自身だけで抱え込まず、専門家と一緒に、ご自身にとって最適な道を選択してください。この記事が、そのための冷静な判断材料となれば幸いです。

監修sponsored by トランス税理士法人
トランス税理士法人・代表 中山慎吾 トランス税理士法人・代表 中山慎吾            
トランス税理士法人・代表
中山慎吾氏
サラリーマンに特化した税理士事務所
トランス税理士法人

税金や社会保険料で手取りが増えていきづらい、日本の全サラリーマンのために様々な節税対策に精通した税理士法人。「年収にあった控除対策」「出口戦略のある不動産投資」現状の課題を解決するための策は多様にあるので、数万円でも節税したいと考えているならば、お気軽に無料相談や確定申告代行(基本プラン22,000円)をご依頼ください。

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