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このページでは、税理士事務所「トランス税理士法人」の監修のもと、サラリーマンの所得制限や控除、税制優遇制度の現状について解説していきます。
年収と手取りは異なるものです。手取りとは、給与収入から税金・社会保険料などを控除し、実際に手元に残る額を指します。
サラリーマンの所得税・住民税を算出する場合、まず1年間の給与収入から給与所得控除を差し引きます。この時、給与所得者の場合※は一定の金額をみなし経費として控除する仕組みになり、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が「給与所得」です。給与所得控除は年収に合わせて金額も増えていきますが、850万円以上になるとその控除額は一律で195万円となります。つまり、年収1,000万円以上でも差し引かれる控除は同じく195万円となり、課税対象となる収入額が増えてしまうのです。
※:個人事業主は確定申告で経費の実費を計上します。
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
さらに、給与所得が900万円以上となると配偶者控除の金額もダウン。900万円以下であれば38万円の控除を受けられますが、900万円を超えると26万円にダウン。さらに、950万円以上で13万円の控除となり、給与所得が1,000万円を超えると配偶者控除は利用不可となるのです。
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm)
また、児童手当にも所得制限があります。児童手当は、満額の場合3歳未満1人につき月額15,000円、3歳以上小学校終了前まで10,000円(第3子以降は15,000円)、中学生で10,000円を受け取ることができます。
しかし、例えば専業主婦と子ども2人を扶養している場合に年収が960万円を超えると特例給付の対象となり、児童手当は子ども1人あたり5,000円にダウン。年収1,200万円をオーバーすると、児童手当の給付はストップしてしまいます。
参照元:こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai/)
このように、年収が増えれば増えるほど受けられる控除が少なくなるのが現状。年収1,000万円オーバーのサラリーマン世帯であっても、生活にゆとりを持つことが難しくなるのです。
ここからは、サラリーマンが受けられる控除についてトランス税理士法人の監修のもと、詳しく解説していきたいと思います。
上でも触れましたが、給与所得控除とはサラリーマンやパート従業員といった給与所得者を対象とした制度。1年間の総収入に応じて、一定額が控除されます。給与所得控除の額は、収入によって計算基準が設けられています。
1,625,000円まで | 550,000円 |
---|---|
1,625,001~1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001~3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001~6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001~8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
この表を見てわかるように、年収850万円を超えた世帯の給与所得控除は、851万円でも1,000万円以上であっても一律195万円となります。
扶養控除とは、所得税法上で該当する控除対象扶養親族がいる場合に、一定額の所得控除が受けられる制度のこと。ここでの控除対象扶養親族とは年齢が16歳以上(その年の12月31日時点の年齢)の人のことを指し、控除額が増えるほど、年末調整・確定申告での納税額を抑えることができます。ちなみに、配偶者に関しては配偶者控除または配偶者特別控除が適用されます。
扶養控除額は、一般の控除対象扶養親族で38万円、特定扶養親族(その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満)で63万円。老人扶養親族については、その年の12月31日時点で70歳以上が該当し、同居老親族で58万円、それ以外で48万円が控除されます。
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm)
生命保険料控除とは、1年間に支払った生命保険の料金から、一定額が所得金額より控除される制度。年に1回、生命保険会社から発行される生命保険料控除証明書を勤務する企業に提出し、年末調整によって控除を受けることになります。また、年末調整が間に合わなかった場合でも確定申告での控除適応も可能です。
対象となる保険は、定期保険・終身保険・収入保障保険・学資保険などの「一般生命保険料」、医療保険・がん保険・介護保険などの「介護医療保険料」、個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険などの「個人年金保険料」となります。
iDeCo(イデコ)とは、自分で決めた掛金を運用し、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に自身で資産形成を行う私的年金制度。65歳まで掛金を積み立てることができますが、原則として60歳までは引き出すことができません。
60歳以降に年金または一時金として受け取ることが可能です。
iDeCoは節税対策としても有効です。積み立てた掛金は全額が所得控除の対象となるため、所得税・住民税の負担が軽減されます。また、利息・配当といった運用収益は全額非課税となっているため、配当や分配金に対する所得税・住民税はかかりません。さらに、老齢給付金を一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用されるなど、税負担が軽減されるのです。
つまり、拠出時には所得控除、運用時は益税が非課税、受取時にも退職所得控除や公的年金等控除が活用できる大変優遇された制度です。
医療費控除とは、年間の医療費が10万円(総所得が200万円未満の場合は総所得の5%)を超えた場合に適用される所得控除制度のひとつ。対象となる場合、確定申告を行うことで還付金を受け取ることが可能です。
医療費控除は納税者本人だけでなく、生計を共にする配偶者・子ども、その他の親族のために使った医療費も対象となります。医療機関での治療費はもちろん、付き添いを含む通院交通費、医薬品の購入費、入院時の食事や生活にかかる費用、インプラントなど歯科の保険外治療費、妊娠から産後までの費用、あん摩マッサージ指圧師などによるリハビリ・マッサージ費用、老人保健施設や訪問看護ステーションの利用料なども対象となり、その上限は200万円となっていますが注意したいのが対象外のものです。
このように、対象となる項目は多くある一方で、控除対象外となるものもあります。税務署からの再提出が求められるような、漏れや誤りもなく申請するためにも税理士に相談して確定申告することが望ましいでしょう。
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm)
ふるさと納税とは、故郷や支援したい自治体に対して自由に寄付ができる制度。これまでも自治体への寄付は自由に行えていましたが、返礼品制度などを設け都市と地方の行政収支のバランスをよくする目的で2008年に制定されました。
原則として、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額が寄付金控除として所得から控除。控除の上、自己負担2,000円で様々な返礼品を受け取れることがふるさと納税の魅力でありメリットです。
この税制優遇に対して年末調整をする給与所得者の場合、「寄付先が5団体以内」などの条件をクリアすれば、申し込み時点でワンストップ制度の利用が可能となり確定申告の必要がありません。
ただし、5団体以上であったり、他の控除(初年の住宅ローン控除、医療費控除)を利用する場合はこの制度は利用※できず、確定申告を行う必要があります。
確定申告を行う場合は、寄付をした自治体から届く「寄附金受領証明書」やその他の書類と共に確定申告を行います。
ふるさと納税は、年収・家族構成等により寄付可能な金額が異なります。ふるさと納税を行う場合はこの寄付金額がオーバーしてしまっては節税目的となりません。自身の効果的な納税額や確定申告などもあわせて税理士に相談することが得策でしょう。
※確定申告を行うと、ワンストップ制度の内容が上書きされてしまうため確定申告をする場合は、必ずワンストップ特例を申請した自治体の分も寄付金控除の記載が必要です。
住宅ローン控除(住宅借入金特別控除)とは、住宅ローンを利用して住まいを購入した際に、確定申告をすることで受けられる税額控除。年末の時点で残っている住宅ローン残高の0.7%※1が、入居時より最大13年間にわたって所得税・住民税から控除されます。この住宅ローン控除は新築住宅だけでなく、中古住宅・リフォーム・増改築にも適用されるのが特徴です。
ただし、住宅ローン控除を受けるには返済期間が10年以上であること、物件取得から6ヶ月以内に入居すること、登記簿上の床面積50m²以上・そのうち1/2が自己の居住用であること、といった条件があります。
また、その年の合計所得金額※2(年収ではない)が2,000万円以下であることも重要なポイントです。
また、この控除は1年目のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整での対応が可能です。
※1:2021年から2025年末までに入居した場合0.7%。それ以降や以前の場合は、入居時期や法改正内容により異なる。(2023年12月24日調査時点)
※2:不動産売却や株式取引による株式譲渡所得がある場合はそれらも全て合算した金額
参照元:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm)
2023年末「つみたてNISA」「一般NISA」の新規投資・口座開設が終了し、2024年より、新たに「新NISA」がスタートしました。これまでの2種のNISAの内容を継続しているだけでなく、内容もパワーアップした新制度です。
そもそもNISAとは、少額投資非課税制度のことで、株式投資、証券投資に対する税制優遇制度。非課税口座であるNISA口座内で購入した金融商品の利益(株式譲渡益や配当金など)に、税金がかからなくなる制度を指し、「つみたてNISA」「一般NISA」がありました。新NISAで新たに変更された内容は以下の通りです。
最大利用可能額 | 年間投資上限額 | 非課税期間 | 実施期間 |
---|---|---|---|
新NISA: 1,800万円 |
新NISA: 360万円 |
新NISA: 無期限 |
新NISA: 2024年から恒久化 |
旧NISA:600万円(一般)/ 800万円(つみたて) |
旧NISA:120万円(一般) /40万円(つみたて) |
旧NISA:5年間(一般)/ 20年間(つみたて) |
旧NISA:2023年末まで |
旧NISAではつみたてと一般で選択しなければいけなかった投資額が併用が可能になり、つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間120万(合計年間240万円)まで上限が引き上げられました。さらに、これまで設けられていた非課税期間がなくなり、生涯非課税で運用可能となり、運用ハードルが下がり、メリットが上がったといえます。
旧NISAで使用していた口座は手続き不要で継続が可能であり、投資商品も国内株、米国株、投資信託などほぼ変更が内容がないようです。
特定支出控除とは、業務に必要とされる経費が多い場合に控除される制度。特定支出に該当する支出が給与所得控除の1/2を超える場合が対象となり、その超過分に対して、確定申告を行った場合のみ控除を受けることができます。
特定支出に当てはまるのは、通勤費・職務上の旅費・転居費・研修費・資格取得費・帰宅旅費(単身赴任時の帰宅など)・勤務必要経費(書籍や衣服など)となりますが、勤務先から「給与所得者の特定支出に関する証明書」を発行してもらうなどハードルが高く、利用者が少ないのが現状です。しかし、このよう控除も税理士に相談することで該当することがあります。
収入が上がるごとに増える税金や社会保険料、累進課税制度の負担率の違いなど、サラリーマンの税金は増すばかり。そもそも収入が少ないサラリーマンにも負担の大きい納税が課せられています。そんなサラリーマンに使える税制優遇制度を解説します。
サラリーマンにはさまざまな控除があり、上手に活用することで節税効果を高めることができます。しかし、日々の仕事に追われて控除の申請を忘れてしまう、確定申告まで手が回らない…という人も少なくありません。
そこで活用してほしいのが、税金の専門家である税理士への相談です。サラリーマンでも顧問税理士をつけることで、節税効果を最大限にまで高めることができます。ここでは、サラリーマンが節税するにあたり必要である知識(マネー力)を手にするための特集を組んでいますので、ぜひご一読ください。
トランス税理士法人は、サラリーマンに特化した税理士事務所です。サララーマンに適した節税対策、サラリーマンが必要となる税の知識に精通していますので、節税や資産形成に取り組みたいと考えているサラリーマンの方は、ぜひ無料相談をご活用ください。
税金や社会保険料で手取りが増えていきづらい、日本の全サラリーマンのために様々な節税対策に精通した税理士法人。「年収にあった控除対策」「出口戦略のある不動産投資」現状の課題を解決するための策は多様にあるので、数万円でも節税したいと考えているならば、お気軽に無料相談や確定申告代行(基本プラン22,000円)をご依頼ください。