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サラリーマンが予定納税の対象になるケースと注意点

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目次

このページで分かること

えっ、会社員の自分に税金の前払い通知?予定納税の基本

ある日、税務署から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」という見慣れない書類が届き、戸惑われている方もいらっしゃるかもしれません。「会社で年末調整を済ませているはずなのに」「なぜ自分に税金の前払いの通知が?」と疑問に思われるのも無理はないでしょう。

しかし、ご安心ください。これは何か問題があったという知らせではなく、むしろ副業や投資で着実に成果を上げられている証しとも言えるのです。ここでは、予定納税の基本的な仕組みについて、分かりやすく解説いたします。

そもそも「予定納税」ってどんな制度?

予定納税とは、「前年の所得税額に基づいて、今年の所得税の一部を事前に納付する制度」です。これは所得税法という法律にも定められた、正式な国の制度です。

前年の所得実績に基づき、税務署が「昨年は多くの所得がありましたので、今年も同程度の納税が見込まれます。来年3月に一括で納付されるのはご負担が大きいでしょうから、あらかじめ税金の一部を夏と秋の2回に分けて納付しませんか」と、納税の平準化を促す制度、と考えると分かりやすいでしょう。

なぜ会社員なのに通知が?対象になる代表的な3つのパターン

普段、所得税は給与から源泉徴収され、年末調整で納税が完了している会社員のみなさんにとっては、「なぜ自分が対象に?」と疑問に思われることでしょう。会社員の方が予定納税の対象となるのは、給与以外の所得が大きくなり、確定申告を行った結果、納めるべき税額が一定の基準を超えた場合です。

パターン1:副業での所得が大きくなった

Webデザインやプログラミング、コンサルティングなど、個人のスキルを活かした副業の所得(事業所得や雑所得)が大きく成長し、確定申告で納税額が発生したケースです。

パターン2:不動産投資で利益が出た

アパート経営や駐車場賃貸による不動産所得があるケースです。各種経費を差し引いた後の所得が大きくなると、対象となる可能性があります。

パターン3:株式や暗号資産で大きな利益を確定した

株式や暗号資産の売却により一時的に大きな利益(譲渡所得や雑所得)が生じ、確定申告を行ったケースです。予定納税制度における一時的な所得は、対象者の判定基準には含まれるが、具体的な納税額の算定には含まれません。

まず、これらの利益によって前年に納付した所得税の総額が15万円以上となった場合、それが引き金となって予定納税の対象者となります。

しかし、その後の具体的な前払い税額を計算する際には、その基礎となる『予定納税基準額』から、これらの一時的な所得にかかる税額は法律上除外されるのが原則です。

つまり、『15万円の基準を超えたかの判定』と『具体的な前払い税額の計算』では、一時所得の扱いが異なる点を理解しておくことが重要です。

「所得税15万円の壁」ご自身の納税額を確認してみましょう

では、具体的にどのような方が対象になるのでしょうか。基準は一つ、非常に明確です。前年分の所得税額等を基に計算した「予定納税基準額」が15万円以上であることです。

「予定納税基準額」という専門用語が出てきましたが、これは翌年の納税額を推計するための基礎となる金額です。前年に納付した税額そのものではなく、そこから不動産売却による利益(譲渡所得)や生命保険の一時金(一時所得)といった、その年限りで発生した特殊な所得にかかる税額を除外して再計算された金額を指します。

これは、「来年も同程度の“継続的な”収入がある」という前提に立ち、臨時収入によって翌年の税金が過大に前払いされるのを防ぐための合理的な仕組みです。


突然の通知にもう慌てない!予定納税の年間スケジュールと対処法

「対象となる理由は理解できたが、具体的にどうすれば良いのか」という疑問にお答えします。ここからは、通知書を受け取ってから納税、そして最終的な精算までの一連の流れを解説します。この流れを把握しておけば、落ち着いて対応できるようになります。

【6月に届く】通知書で確認すべき2つのポイント

毎年6月中旬頃、対象者の方へ税務署から「予定納税額の通知書」が郵送されます。この書類がお手元に届きましたら、まず以下の2点をご確認ください。

ポイント1:
ご自身の「予定納税基準額」

まず、算出の基礎となった基準額を確認します。
これが、前年の継続的な所得に対する納税実績を基にした金額です。

ポイント2:
第1期分と第2期分の「納付税額」

通知書には、7月と11月に
それぞれ納付すべき金額が明記されています。

年間の納税額の内訳

予定納税基準額
(前年の実績)
第1期 (7月)
基準額の1/3
+
第2期 (11月)
基準額の1/3

年間の予定納税額の合計は、原則として『予定納税基準額』の3分の2(端数処理あり)に相当する金額です。

この合計額を2回に分けて納付するため、各期(第1期・第2期)の納付額は、それぞれ『予定納税基準額』の3分の1の金額となります。翌年の確定申告では、この前払いした合計額(基準額の3分の2)と給与からの源泉徴収税額を、その年の所得全体から算出した最終的な年税額から差し引き、差額を納付または還付という形で精算します。

【7月・11月】納税はいつまでに?忘れないための納税カレンダー

予定納税の各手続きには厳格な期限が設けられています。対応漏れを防ぐためにも、年間スケジュールを把握しておくことが重要です。

イベント 標準的な期限 納税者が行うべき主要なアクション
通知書受領 毎年6月中旬 内容(予定納税基準額、各期の納付額)を正確に確認する。
第1期分・第2期分の減額申請 その年の7月1日から7月15日 収入減少が見込まれる場合、減額申請を検討・提出する。
第1期分 納付 その年の7月1日から7月31日 第1期分の税額を納付する。
第2期分のみの減額申請 その年の11月1日から11月15日 第2期分のみを減額する場合に申請・提出する。
第2期分 納付 その年の11月1日から11月30日 第2期分の税額を納付する。
確定申告 翌年2月16日から3月15日 年間所得を申告し、予定納税額を申告書に記入して最終的な税額を精算する。

【重要事項】

※上記は原則的な期限です。令和6年における定額減税のように、特別な税制措置が講じられる年には、減額申請の期限が延長されることがあります(例:令和6年分の第1期・第2期分減額申請期限は7月15日まで)。必ず国税庁のウェブサイト等で最新の情報を確認してください。

スマホ決済もOK!ご自身に合った納付方法を選びましょう

納税というと金融機関の窓口をイメージされるかもしれませんが、現在は多様な納付方法が用意されています。ご自身のライフスタイルに合った方法を選択することが可能です。

便利な納付方法一覧


【副業を行う会社員必見】払い過ぎを防ぐ「減額申請」活用術

予定納税は前年の所得を基準とするため、状況によっては今年の所得実態と乖離が生じることがあります。特に収入が変動しやすい副業においては、「今年は昨年ほどの収入が見込めない…」という事態も起こり得ます。

そのような時に、税金の過払いを防ぐための重要な手続きが「減額申請」です。

「収入が大きく減少した…」そんな時に活用できるのが減額申請です

廃業や休業、業績不振などにより、今年の所得が前年より明らかに減少すると見込まれる場合、税務署に申請することで予定納税額を減額してもらうことが可能です。これが「減額申請」という制度です。

例えば、「主要な取引先との契約が終了し、収入が半減する見込み」「体調不良により副業の規模を縮小している」といったケースが該当します。この手続きを活用することで、手元のキャッシュフローの負担を軽減できます。

減額申請はいつまでに?申請期限と具体的な手続きの流れ

減額申請には厳格な期限が定められています。この機を逃さないよう、注意が必要です。

申請のタイミングと期限

手続きの簡単な流れ

  1. 所得の見積もり:まず、その年の12月31日までの所得がいくらになるか、売上や経費の実績と見込みを基に算出します。
  2. 申請書の作成:国税庁のウェブサイト等から「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」を入手し、必要事項を記入します。所得の見積額や減額申請の具体的な理由などを記載します。
  3. 添付書類の準備:所得が減少する客観的な根拠を示す資料(例:6月30日時点の損益計算書など)を準備します。
  4. 提出:申請書と添付書類を揃え、所轄の税務署に郵送または持参、もしくはe-Taxを利用して電子的に提出します。

減額申請を行う際の注意点

減額申請は非常に有用な制度ですが、いくつか留意すべき点があります。

自己判断による減額納付は行わない

申請を提出しても、税務署からの承認通知がなければ減額は確定しません。承認を待たずに自己判断で減額した金額を納付した場合、不足分に対して延滞税が課される可能性があり、その税率や期間に応じた利息が追加されます。

申請が必ず承認されるとは限らない

所得減少の理由や見積もりの根拠が不明確な場合、申請が承認されないことも考えられます。客観的な資料を的確に添付することが重要です。

申請が承認されなかった場合

減額申請が承認されなかった(否認された)場合、その決定は行政処分にあたるため、法律に基づき不服を申し立てることが可能です。

具体的には、まず処分を行った税務署長に対して「再調査の請求」を行い、その決定にさらに不服がある場合は、より中立的な第三者機関である国税不服審判所長に「審査請求」を行うという、二段階の不服申立制度が用意されています。

ただし、これらの手続きは専門的な知識を要するため、実行を検討する際は、まず税理士などの専門家に相談することが不可欠です。


予定納税に関するよくある疑問

Q.

予定納税を行うと、勤務先に副業が知られてしまいますか?

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トランス税理士法人
中山慎吾氏

予定納税の手続きそのものが原因で、勤務先に副業が直接伝わることはありません。通知書はご自宅に直接届き、会社を経由することはないためです。

ただし、注意が必要なのは翌年の「住民税」です。確定申告の際、副業所得分の住民税の徴収方法を「普通徴収(ご自身で納付)」に設定しないと、給与から天引きされる住民税額が変動し、会社の経理担当者が給与以外の所得の存在に気づく可能性があります。

Q.

もし支払いを忘れてしまったら、どうなりますか?

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トランス税理士法人
中山慎吾氏

納期限を過ぎてしまうと、その翌日から1日単位で「延滞税」が自動的に課されます。税率は2段階に分かれており、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは年2.4%、それを超える期間は年8.7%です(※1)。この税率は、法律で定められた本則の利率(年7.3%/14.6%)と、市場金利に連動する特例の利率を比較し、いずれか低い方が適用されるため、金融情勢によって変動します。※1:税率は金融情勢により変動します。記載の税率は令和4年1月1日から令和7年12月31日までの期間に適用されるものです。

Q.

払い過ぎた税金は、本当にきちんと還付されますか?

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トランス税理士法人
中山慎吾氏

はい、全額が適切に還付されます。ご安心ください。翌年の確定申告において、1年間の正しい税額と、前払いした予定納税額との精算が行われます。もし払い過ぎていた場合は、その差額が「還付金」として指定の銀行口座に振り込まれます。

Q.

年末調整と二重払いになることはありませんか?

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トランス税理士法人
中山慎吾氏

二重払いになることはありません。年末調整は「会社からの給与」に対する税金の精算手続きです。一方、予定納税は「副業などを含めた所得全体」を見越した税金の前払いです。最終的に確定申告で全ての所得を合算して税額を算出し、そこから給与で源泉徴収された税額と予定納税額の両方を差し引くため、二重に支払うことのない仕組みになっています。

Q.

株式や暗号資産の一時的な利益でも支払う必要はありますか?

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トランス税理士法人
中山慎吾氏

前年に株式の売却や暗号資産の譲渡などで多額の利益が生じ、確定申告により所得税額が15万円を超えた場合は、翌年に予定納税の通知が送付されることがあります。

しかしながら、これらの利益が一時的なものであり、翌年の所得税額が著しく減少すると見込まれる場合は、税務署に「予定納税額の減額申請書」を提出することで、予定納税額の減額が認められる可能性があります。通知された金額が、当年の収入状況に照らして過大と感じられる場合は、速やかに減額申請の検討をおすすめします。

Q.

支払いが厳しいのですが、分割払いは可能でしょうか?

中山慎吾氏の画像

トランス税理士法人
中山慎吾氏

予定納税制度そのものが、「年1回の一括納付を年2回に分割する」という性格を持っています。そのため、7月や11月の各納期に定められた金額を、さらに分割して納付することは認められていません。もし納付が困難な場合は、前述の「減額申請」が公式に認められた唯一の対抗策となります。


翌年の確定申告で最終調整!忘れてはならない精算手続き

予定納税は、あくまでも仮の納税です。その年の真の納税額は、翌年2月16日から3月15日に行う確定申告によって最終的に確定します。この精算の仕組みを理解しておくことが重要です。

確定申告書のどこに書く?予定納税額の記入欄

確定申告書には、納付した予定納税額を記入するための専用の欄が設けられています。令和6年分(2025年に提出)の確定申告書では、第一表の「(53) 予定納税額(第1期分・第2期分)」が該当します。ここに、7月と11月に納付した金額の合計額を必ず記入してください。

※申告書の様式や欄番号は年度によって変更される可能性があるため、申告の際は必ずその年の確定申告の手引き等で最新の情報を確認してください。

払い過ぎた分は「還付金」として戻ってきます

確定申告で算出された年税額より予定納税額が多かった場合、その差額は「還付金」として返還されますが、振込時期には個人差がある点に注意が必要です確定申告書に記入した銀行口座へ、申告後およそ1ヶ月から1ヶ月半(e-Taxの場合は約3週間)で振り込まれます。

足りない分は「追加納付」が必要になります

逆に、業績が好調で、年税額が納付済みの予定納税額を上回った場合は、その差額を追加で納付する必要があります。この納付期限は、確定申告の期限と同様、原則として翌年の3月15日です。


まとめ:会社員の方が押さえるべき重要ポイント

初めての予定納税の通知には、多くの方が戸惑いを感じるものです。しかし、その仕組みを正しく理解すれば、対応は決して難しいものではありません。最後に、会社員の方が押さえておくべき重要なポイントをまとめます。

この記事で基本的な流れはご理解いただけたかと存じます。しかし、個別の状況によっては判断に迷うこともあるかもしれません。特に、減額申請や不服申立てといった専門的な知識を要する手続きを検討される場合は、税理士をはじめとする専門家に一度ご相談されることを強くお勧めします。専門家の助言は、的確な納税に繋がるだけでなく、将来の資産形成を見据えた上での安心材料となるはずです。

監修sponsored by トランス税理士法人
トランス税理士法人・代表 中山慎吾            
トランス税理士法人・代表
中山慎吾氏
サラリーマンに特化した税理士事務所
トランス税理士法人

税金や社会保険料で手取りが増えていきづらい、日本の全サラリーマンのために様々な節税対策に精通した税理士法人。「年収にあった控除対策」「出口戦略のある不動産投資」現状の課題を解決するための策は多様にあるので、数万円でも節税したいと考えているならば、お気軽に無料相談や確定申告代行(基本プラン22,000円)をご依頼ください。

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