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「マイクロ法人を作ると社会保険料が安くなる」と聞いて、設立を検討する方は少なくありません。
ただ、マイクロ法人で社会保険料が安くなるかどうかは、会社員なのか、個人事業主なのか、退職後なのかで大きく変わります。
個人事業主の場合は、国民健康保険・国民年金との比較によって、法人の社会保険に入るほうが有利になるケースがあります。特に、個人事業の所得が大きい人や、扶養家族がいる人は比較する価値があります。
一方で、会社員が副業でマイクロ法人を作る場合は注意が必要です。本業の会社で社会保険に加入している人が、別の法人から役員報酬を受けると、「二以上事業所勤務」として報酬が合算されることがあります。
この場合、マイクロ法人側の役員報酬を低くしても、単純に社会保険料を下げられるとは限りません。むしろ、合算後の標準報酬月額が上がり、保険料の総額が増えることもあります。
また、マイクロ法人には社会保険料以外にも、法人住民税、税理士報酬、会計ソフト代、決算申告の手間などがかかります。
社会保険料だけを切り出して判断するのではなく、法人維持費、役員報酬の税務上の扱い、将来の年金、扶養家族の有無まで含めて見ることが大切です。
| 立場 | 社会保険料が安くなる可能性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 個人事業主+マイクロ法人 | 高い場合がある | 国保・国民年金との比較、事業実態、法人維持費の確認が必要 |
| 会社員+副業マイクロ法人 | 低い、または逆に増える場合がある | 二以上事業所勤務により報酬が合算される可能性がある |
| 退職後に法人一本で活動する人 | 条件次第 | 任意継続、国保、法人社保を比較する必要がある |
| 扶養家族がいる人 | 有利になる場合がある | 被扶養者の収入要件、家族の働き方、給与設計の確認が必要 |
| 売上や利益が小さい人 | 低い場合が多い | 法人維持費や手続き負担が削減額を上回る可能性がある |
マイクロ法人の社会保険は、「作れば得」という単純な話ではありません。
自分の働き方と数字を入れて、トータルで判断しましょう。
マイクロ法人の社会保険は、会社員・個人事業主・退職後など立場によって結論が変わります。社会保険料だけでなく、法人維持費や将来の年金まで含めて確認しましょう。
「社会保険料」という言葉は広い意味で使われますが、マイクロ法人を考えるときは、まず「健康保険・厚生年金」と「労働保険」を分けておくと整理しやすくなります。
混同したまま設計すると、加入すべき制度を見落としたり、逆に入れると思っていた保険に入れなかったりすることがあります。
健康保険と厚生年金は、会社員が勤務先で加入している社会保険の中心です。
株式会社などの法人事業所は、事業主のみの場合を含めて、健康保険・厚生年金の適用事業所になります。
そのため、自分一人で運営するマイクロ法人でも、「従業員がいないから社会保険は関係ない」とは言えません。
ここで大切なのは、「法人が適用事業所になること」と「役員本人が被保険者になること」を分けて考えることです。
被保険者になるかどうかは、法人で働いている実態があるか、労務の対価として役員報酬を受けているかなどを見て判断されます。
たとえば、法人から役員報酬を受けている代表者であれば、社会保険の被保険者に該当する可能性が高くなります。一方で、役員報酬がまったくない場合や実態が曖昧な場合は、法人の届出要否と本人の被保険者該当性を分けて確認する必要があります。
被保険者に該当する人がいる場合、事業主は資格取得届などを原則5日以内に提出します。
手続きが遅れると、後からさかのぼって加入や保険料納付を求められることがあります。
法人が適用事業所になるかどうかと、役員本人が被保険者になるかどうかは分けて確認するのがポイントです。小規模法人でも、届出や資格取得の確認は後回しにしないようにしましょう。
労働保険は、健康保険・厚生年金とは別の制度です。
マイクロ法人では「役員も雇用保険に入れるのか」「一人社長でも労災に入れるのか」といった点で誤解が起きやすいため、ここで整理しておきましょう。
会社の取締役や役員は、原則として雇用保険の被保険者になりません。
雇用保険は、会社に雇われて働く労働者を対象にした制度だからです。
ただし、役員でありながら部長・支店長などの従業員としての身分も持ち、勤務実態や賃金の支払い方から見て労働者性が強い場合は、兼務役員として加入できることがあります。
この判断は、肩書きだけでは決まりません。雇用契約書、賃金台帳、出勤簿、就業規則、組織図、役員報酬規程、議事録などから、実態として労働者性を説明できるかが重要です。
また、複数の会社で働く場合の雇用保険は、各社で加入要件を満たしていても、原則として主たる賃金を受ける雇用関係にある会社でのみ加入します。
労災保険も、役員は原則として対象外です。
ただし、中小事業主などを対象にした「特別加入」という任意加入の仕組みがあります。
注意したいのは、中小事業主等の特別加入には、雇用する労働者について労働保険関係が成立していることや、労働保険事務を労働保険事務組合に委託していることなどの要件がある点です。
そのため、従業員ゼロのマイクロ法人では、特別加入できないケースがあります。
業種や働き方によって扱いが分かれるため、必要であれば労働局、労働基準監督署、労働保険事務組合に確認しましょう。
社会保険料の計算では、実際の給与や役員報酬をそのまま使うのではなく、「標準報酬月額」という等級に当てはめます。
協会けんぽの保険料額表では、健康保険の標準報酬月額は1級58,000円から50級1,390,000円までに区分されています。
厚生年金の標準報酬月額は、1等級88,000円から32等級650,000円までです。
つまり、役員報酬をかなり低く設定しても、計算上は少なくとも健康保険で標準報酬月額58,000円、厚生年金で88,000円がベースになります。
「報酬を少しだけにすれば、保険料も限りなくゼロに近づく」という考え方はできません。
ただし、役員報酬がまったくない場合は、そもそも被保険者に該当するかどうかの確認が必要です。
賞与については、税引前賞与総額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に料率をかけて計算します。
標準賞与額の上限は、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金が年度累計573万円、厚生年金と子ども・子育て拠出金が1か月あたり150万円です。
また、年4回以上支給される賞与は、賞与ではなく標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。
健康保険料率は、協会けんぽの都道府県別保険料額表で確認します。
令和8年度の健康保険料率は、東京支部が9.85%、新潟支部が9.21%、佐賀支部が10.55%です。
同じ標準報酬月額でも、事業所の所在地によって健康保険料は変わります。
40歳以上65歳未満の方は、介護保険第2号被保険者として介護保険料も負担します。令和8年度の介護保険料率は全国一律1.62%です。
厚生年金の保険料率は18.3%で固定されています。
さらに、令和8年4月分(5月納付分)からは子ども・子育て支援金率0.23%も保険料額表に表示されています。
また、事業主は子ども・子育て拠出金も負担します。令和8年度の協会けんぽ保険料額表では、拠出金率は0.36%です。
マイクロ法人では、会社負担分も自分の法人から出ていくお金です。本人負担だけでなく、法人側の支出まで見ておきましょう。
最新の料率は、協会けんぽの都道府県別保険料額表で確認できます。
協会けんぽ:令和8年度保険料額表
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・子ども・子育て支援金は、原則として本人と会社が折半して負担します。
一方、子ども・子育て拠出金は事業主のみが負担し、被保険者の負担はありません。
通常の会社員であれば「会社が半分負担してくれる」と考えられますが、自分で作ったマイクロ法人では少し見方が変わります。
会社負担分も、結局は自分の法人から出ていくお金です。
そのため、マイクロ法人の社会保険料を考えるときは、給与明細上の本人負担だけでなく、会社負担分、事業主負担の拠出金、法人維持費まで含めて判断する必要があります。
自分のマイクロ法人では、会社負担分も実質的には自分の法人から出ていくお金です。本人負担だけを見て「安い」と判断しないことが大切です。
「マイクロ法人の社会保険料は最低いくらか」は、よくある疑問です。
ただし、最低額は都道府県、年齢、標準報酬月額、年度ごとの料率によって変わります。
ここでは、役員報酬を支給し、社会保険の被保険者に該当する場合を前提に、令和8年度の協会けんぽの料率で考え方を整理します。
健康保険の標準報酬月額の下限は58,000円です。
厚生年金の標準報酬月額の下限は88,000円です。
そのため、役員報酬をかなり低く設定したとしても、健康保険は58,000円、厚生年金は88,000円をベースに計算します。
たとえば、東京支部・40歳未満・役員報酬が最低等級に収まる前提では、健康保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て支援金を含めた本人負担は、おおむね月1万円台前半です。
ただし、マイクロ法人では会社負担分も自分の法人の支出です。
本人負担だけを見て「安い」と判断せず、会社負担分と事業主負担の拠出金も含めて見ましょう。
40歳以上65歳未満の方は、介護保険第2号被保険者として介護保険料も負担します。
令和8年度の介護保険料率は全国一律1.62%です。
同じ役員報酬でも、40歳未満と40歳以上65歳未満では負担額が変わります。
試算するときは、年齢も必ず確認してください。
協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なります。
令和8年度では、新潟支部が9.21%、佐賀支部が10.55%です。
健康保険の最低等級である標準報酬月額58,000円で比べても、本人負担だけで月約390円の差があります。
役員報酬が上がるほど、この差も大きくなります。
厚生年金は全国一律18.3%ですが、健康保険は所在地によって変わるため、法人所在地の料率表を確認しましょう。
令和8年度の保険料額表には、子ども・子育て支援金率も表示されています。
子ども・子育て支援金は、健康保険料などとあわせて徴収されます。
また、事業主は子ども・子育て拠出金も負担します。
マイクロ法人では、これらも法人から出ていくお金です。
「健康保険料と厚生年金だけ見ればよい」と考えず、最新年度の保険料額表で関連する負担をまとめて確認しましょう。
最低額を考えるときは、健康保険・厚生年金だけでなく、年齢、所在地、介護保険、子ども・子育て支援金、事業主負担分までまとめて見ましょう。
マイクロ法人の社会保険は、条件が合えば負担を抑えられる可能性があります。
一方で、仕組みを誤解したまま設立すると、社会保険料だけでなく法人維持費や手続き負担が増え、かえって損をすることもあります。
個人事業主の場合、国民健康保険料は前年所得や世帯人数をもとに計算されます。
所得が大きくなると国民健康保険料も高くなりやすいため、マイクロ法人を設立し、役員報酬を適切に設計することで、社会保険料を抑えられる可能性があります。
ただし、法人化すれば必ず得をするわけではありません。
法人住民税、税理士報酬、会計ソフト代、決算申告、社会保険手続きなどのコストもかかります。
削減できる保険料だけでなく、法人維持費を差し引いた実質メリットで判断しましょう。
健康保険では、要件を満たした家族を被扶養者にできる場合があります。
被扶養者として認定されれば、家族分の追加保険料は原則発生しません。
一方、国民健康保険では世帯人数に応じて保険料が増えることがあります。
そのため、扶養家族がいる人は、法人社会保険のほうが有利になるケースがあります。
ただし、被扶養者の認定には、収入要件や生計維持関係などの条件があります。
原則は年間収入130万円未満ですが、60歳以上または障害者の場合は180万円未満です。
さらに、令和7年10月1日以降に扶養認定を受ける19歳以上23歳未満の方は、年間収入150万円未満に変わります。
また、令和8年4月1日以降は、給与収入のみの場合に労働契約内容で年間収入を判定できる取り扱いも始まっています。
いわゆる「130万円の壁」だけで判断せず、対象者の年齢や働き方に応じて最新の認定基準を確認しましょう。
マイクロ法人を作ると、社会保険料以外の費用も発生します。
法人住民税の均等割、税理士報酬、決算申告の手間、登記費用、会計管理の負担などです。
社会保険料が少し下がっても、これらのコストを含めると、トータルでは損になることがあります。
特に売上や利益が小さい段階では、法人化のメリットよりも固定費の重さが目立ちやすいです。
「社会保険料だけ」を切り出さず、年間の総コストで比較しましょう。
会社員が副業でマイクロ法人を作り、そこから役員報酬を受ける場合は注意が必要です。
本業の会社とマイクロ法人の両方で健康保険・厚生年金の被保険者になると、二以上事業所勤務として扱われる可能性があります。
この場合、両社の報酬を合算して標準報酬月額が決まり、保険料は各事業所の報酬割合で按分されます。
つまり、マイクロ法人側の報酬を低くしたとしても、節約になるとは限りません。
むしろ、報酬が合算されて等級が上がり、社会保険料の総額が増えることもあります。
会社員のままマイクロ法人を作る場合は、節約になるかだけでなく、本業会社に事務処理が発生するか、副業規定に抵触しないかも確認しておきましょう。
会社員が副業でマイクロ法人を持つ場合は、社会保険料の節約だけでなく、二以上事業所勤務や勤務先の副業規定まで含めて確認する必要があります。
ここからは、状況別に社会保険がどう変わるかを見ていきます。
自分のケースに近いものから確認してください。
会社員として勤めながらマイクロ法人を作り、役員報酬を受ける場合、最も重要なのは「二以上事業所勤務」です。
二以上事業所勤務とは、健康保険・厚生年金の被保険者として、2カ所以上の適用事業所に同時に勤務する状態をいいます。
会社員としてA社に勤めながら、マイクロ法人B社から役員報酬を受け、両方で被保険者になる場合、このルールが関係します。
保険料の考え方は「報酬を合算する→標準報酬月額を決める→各事業所に按分する」という流れです。
A社とB社の報酬月額を合計して標準報酬月額を決め、保険料を各事業所の報酬割合で按分します。
たとえば、A社20万円・B社10万円、合計30万円の場合、A社とB社で別々に保険料を計算するのではなく、合計30万円をもとに決まった保険料を2:1の割合で割り振ります。
そのため、「B社の役員報酬を低く抑えれば社会保険料も節約できる」とは限りません。
B社分の報酬を足したことで等級が上がれば、保険料の総額が増えることもあります。
また、二以上事業所勤務では、届出や標準報酬月額の決定、保険料の按分に本業会社側の事務処理が関わる可能性があります。
副業を隠したまま進めるのは危険です。社会保険だけでなく、就業規則や副業規定も確認しておきましょう。
マイクロ法人を作っても、役員報酬を出さなければ問題ないと考える方もいます。
しかし、役員報酬なし・極小の扱いは実態によって判断が変わるため、断定的に「大丈夫」とは言えません。
確認したいポイントは次のとおりです。
役員報酬なし・極小で運用する場合でも、法人としての手続きと報酬実態を整理しておきましょう。
判断に迷う場合は、年金事務所、税理士、社会保険労務士に確認するのが安全です。
役員報酬なし・極小で進める場合でも、「報酬がないから何もしなくてよい」とは限りません。法人の届出要否と被保険者該当性を確認しておきましょう。
会社員を退職してマイクロ法人一本で活動する場合、健康保険の選択肢は主に3つあります。
法人で健康保険・厚生年金に加入する、国民健康保険+国民年金にする、退職前の健康保険を任意継続する、という選択肢です。
保険料だけでなく、給付内容、将来の年金、扶養家族の有無も含めて比較しましょう。
| 比較項目 | 法人社会保険(健康保険・厚生年金) | 国保+国民年金 | 任意継続 |
|---|---|---|---|
| 保険料の計算基準 | 標準報酬月額×料率 | 前年所得・世帯人数・自治体の料率 | 退職時の標準報酬月額をもとに計算 |
| 傷病手当金 | 原則あり | 原則なし | 任意継続中に新たに発生した病気・けがは原則対象外 |
| 将来の年金 | 老齢厚生年金が上乗せされる | 老齢基礎年金が中心 | 年金は別途、国民年金などの手続きが必要 |
| 扶養家族の保険料 | 被扶養者は追加保険料なし | 世帯人数に応じて加算される | 被扶養者制度を利用できる場合がある |
| 主な手続き期限 | 法人側で適用・資格取得の手続き | 退職後14日以内に市区町村で手続き | 退職日の翌日から20日以内に申請 |
任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に申請します。
任意継続の保険料は、退職後は事業主負担分も自分で負担するため、原則として退職時の健康保険料の2倍になります。ただし上限があり、退職時の標準報酬月額が32万円を超えていた場合は32万円で計算します。
保険料は原則2年間変わりませんが、保険料率、介護保険料率、子ども・子育て支援金率、標準報酬月額の上限などが変わると、任意継続中でも保険料が変わることがあります。
国民年金については、厚生年金から外れる場合、第1号被保険者への切替が必要です。令和8年度の国民年金保険料は月17,920円です。
どれが有利かは、前年所得、世帯構成、年齢、扶養家族の有無によって変わります。退職前に必ず試算しておきましょう。
配偶者や家族をマイクロ法人の役員・従業員にする場合、扶養、働き方、給与設計が複雑に絡みます。
まず、家族が役員になる場合は、原則として雇用保険の対象外です。ただし、兼務役員として従業員性が認められる場合は、例外的に加入できる可能性があります。
役員報酬については、税務上「定期同額給与」として損金算入するための要件を満たす必要があります。
原則として、事業年度開始から3か月以内に金額を決め、毎月同額で支給し、決定内容は議事録などで残しておきます。
家族が従業員として働く場合は、労働の実態があれば社会保険への加入が必要になることがあります。
扶養に入れるかどうかは、年収だけでなく、生計維持関係、同居・別居の状況、年齢なども見て判断されます。
設計を誤ると、扶養から外れて別途保険料が発生したり、税務上の問題が生じたりします。事前に税理士や社会保険労務士へ相談することをおすすめします。
マイクロ法人の社会保険は、保険料だけでなく手続きの期限も大切です。
「あとでまとめて出せばいい」と考えていると、未加入・遡及・指導の対象になる可能性があります。
法人が健康保険・厚生年金の適用事業所になる場合、事業主は年金事務所へ新規適用届などを提出します。
役員や従業員が被保険者に該当する場合は、資格取得届も必要です。
資格取得届は、原則として事実発生から5日以内に提出します。
マイクロ法人では代表者本人が手続きを行うことも多いため、法人設立後の税務届出だけでなく、社会保険の届出も忘れないようにしましょう。
会社員が本業の会社で社会保険に加入しながら、マイクロ法人からも役員報酬を受ける場合、二以上事業所勤務に該当することがあります。
この場合、被保険者本人が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。
提出期限は、事実発生から原則10日以内です。
届出後は、選択した事業所を通じて標準報酬月額や保険料額が決まり、各事業所に按分されます。
本業会社の事務担当者が手続きに関わる可能性があるため、会社員の副業法人では特に注意しましょう。
個人事業主がマイクロ法人を作り、法人の社会保険に加入する場合は、国民健康保険や国民年金からの切替が必要になります。
国民健康保険の脱退手続きは、市区町村で行います。
厚生年金に加入すると国民年金第2号被保険者となるため、国民年金の扱いも変わります。
扶養家族がいる場合は、被扶養者認定の手続きも必要になることがあります。
法人が適用事業所に該当するにもかかわらず手続きをしていない場合、後から加入指導や立入検査の対象になることがあります。
是正されない場合は、確認された事実に基づき、さかのぼって加入手続きが行われる可能性もあります。
その場合、過去分の保険料をまとめて納付しなければならないことがあります。
「小さい法人だから関係ない」「従業員がいないから大丈夫」と考えるのは危険です。
社会保険の手続きは、あとでまとめて出せばよいものではありません。未加入や遡及のリスクがあるため、法人設立後の早い段階で確認しましょう。
マイクロ法人そのものは違法ではありません。
個人事業と法人を適切に使い分け、事業実態に基づいて運営しているのであれば、小規模な法人であること自体に問題はありません。
ただし、社会保険料を下げる目的だけで形式的に法人を作り、事業実態、報酬実態、届出内容に整合性がない場合は、税務・社会保険の両面で説明を求められる可能性があります。
マイクロ法人は、小規模な法人として事業を行う形態です。
法人として登記し、会計処理、税務申告、社会保険手続きを適切に行っていれば、法人の規模が小さいこと自体は問題ではありません。
問題になりやすいのは、法人の実態がほとんどなく、社会保険料や税金を下げるためだけの箱として見られるようなケースです。
マイクロ法人を安全に運用するには、法人として何の事業を行っているのか、誰がどの業務をしているのか、役員報酬がどのような根拠で支払われているのかを説明できることが大切です。
個人事業と法人の事業内容が混ざっていたり、売上の帰属が曖昧だったりすると、税務上も社会保険上も説明が難しくなります。
役員報酬を極端に低く設定する場合も、業務量や生活実態との整合性を見られる可能性があります。
形式だけを整えるのではなく、実態と書類をそろえておきましょう。
実態を説明するには、日頃から資料を残しておくことが大切です。
たとえば、以下のような資料があると、法人としての活動を説明しやすくなります。
これらは、税務調査や年金事務所から確認があったときだけでなく、普段の経営判断にも役立ちます。
マイクロ法人を作るなら、設立して終わりではなく、法人としての取引、会計、意思決定の記録を残す前提で運用しましょう。
マイクロ法人を安全に運用するには、事業実態・報酬実態・届出内容の整合性を説明できる状態にしておくことが重要です。契約書、請求書、法人口座、議事録などを日頃から残しておきましょう。
マイクロ法人の社会保険を合法的に運用するために、押さえておきたい点を整理します。
「知らなかった」では済まない場面もあるため、公式情報を確認しながら進めましょう。
法人事業所は、事業主のみの場合を含めて、健康保険・厚生年金の適用事業所になります。
未適用事業所に対しては、加入指導や立入検査が行われることがあります。
是正されない場合は、確認した事実に基づいて、さかのぼって加入手続きが行われることもあります。
また、立入検査を拒否した場合には、厚生年金保険法上の罰則の対象になる可能性もあります。
「後で届け出ればいい」「時効があるから大丈夫」と軽く考えるのは避けましょう。
手続きの期限と責任主体も確認しておきましょう。
社会保険は「加入しなくても逃げ切れる」制度ではなく、後から是正される可能性がある制度です。
役員は雇用保険に原則として入れません。
会社員時代と同じ感覚でいると、マイクロ法人設立後に「失業給付を受けられない」と気づくことがあります。
廃業、体調不良、売上低下などで働けなくなったときに備えて、雇用保険以外の資金繰りや保障も考えておきましょう。
マイクロ法人では、社会保険料を抑えるために役員報酬を低く設定することがあります。
ただ、低くしすぎると別の問題が出ることがあります。
たとえば、将来の厚生年金額が少なくなる、生活費との整合性を説明しにくくなる、融資や住宅ローンで収入面の信用力が下がる、といった点です。
また、役員報酬は税務上、定期同額給与として損金算入の要件を満たす必要があります。
原則として期中に自由に増減できるものではないため、社会保険料だけを見て金額を決めるのは危険です。
役員報酬は、社会保険料だけでなく税務、資金繰り、将来の年金、生活実態にも影響します。低くすればよいと単純に考えず、全体で設計しましょう。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
最低額は、標準報酬月額の下限と都道府県別の料率によって変わります。
健康保険の標準報酬月額の下限は58,000円、厚生年金の標準報酬月額の下限は88,000円です。
役員報酬がこの等級に収まる水準で、社会保険の被保険者に該当する場合は、令和8年度の保険料率(健康保険:都道府県別、厚生年金:18.3%)をもとに計算します。
40歳以上65歳未満の場合は、介護保険料も加わります。
また、令和8年度は子ども・子育て支援金や事業主負担の子ども・子育て拠出金も確認してください。
会社員がマイクロ法人から役員報酬を受ける場合は、二以上事業所勤務により報酬が合算されることがあります。この場合、「B社の最低報酬だけで最低保険料になる」という単純計算はできません。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
「二重になる」という表現は少し正確ではありません。
二以上事業所勤務では、両社の報酬を合算して一つの標準報酬月額を決め、その保険料を各事業所の報酬割合で按分します。
A社とB社で別々に保険料を計算するのではなく、合計した報酬から保険料総額を決め、それを割り振る仕組みです。
保険料が二重に取られるわけではありませんが、B社の報酬分を足すことで等級が上がれば、社会保険料の総額が増える可能性があります。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
会社員がマイクロ法人から役員報酬を受け、二以上事業所勤務に該当する場合、本業会社に事務処理が発生する可能性があります。
標準報酬月額や保険料額の決定、按分などに各事業所が関わるためです。
そのため、「社会保険の手続きから本業会社に知られる可能性はある」と考えておくほうが安全です。
副業禁止・副業届出制の会社に勤めている場合は、就業規則や社内規程も確認してください。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
法人が健康保険・厚生年金の適用事業所になるかどうかは、売上や利益だけで決まるものではありません。
法人事業所は、事業主のみの場合を含めて適用事業所になるため、売上が少ない、赤字であるという理由だけで当然に対象外になるわけではありません。
ただし、役員本人が被保険者に該当するかは、報酬の有無や使用関係、業務実態などによって判断されます。
売上なし・役員報酬なしで運用する場合でも、法人としての届出要否や今後の報酬予定について、年金事務所や専門家に確認しておくと安心です。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
原則として、役員は雇用保険に入れません。
ただし、役員でありながら従業員としての身分も持ち、勤務実態や賃金の支払い方から見て労働者性が強い場合は、兼務役員として認められることがあります。
この場合も、形式上の肩書きではなく、実態として従業員性を説明できるかが判断の鍵になります。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
健康保険(協会けんぽ)の都道府県別保険料率は、毎年都道府県単位で改定されます。
令和8年度であれば、健康保険料率と介護保険料率は令和8年3月分(4月納付分)から適用されます。
子ども・子育て支援金率は令和8年4月分(5月納付分)から適用されます。
厚生年金の保険料率は18.3%で固定されています。
標準報酬月額の定時決定(算定基礎届)は、毎年7月1日時点の状況をもとに、9月から翌8月まで適用される標準報酬を決める手続きです。
役員報酬の変更タイミングとあわせて管理しましょう。
トランス税理士法人
中山慎吾氏
個人事業とマイクロ法人を併用する場合は、事業の切り分けが重要です。
同じような業務を個人と法人の両方で行っていると、売上や経費の帰属が曖昧になりやすくなります。
法人として契約した取引は法人の売上にし、法人の経費は法人で処理するなど、契約、請求、入金口座、会計を分けましょう。
事業実態を説明できるよう、契約書、請求書、法人口座、業務記録、議事録などを残しておくことが大切です。
マイクロ法人の社会保険は、設立してから考えるのでは遅いことがあります。
まず、法人は従業員ゼロでも、原則として健康保険・厚生年金の適用事業所になります。
そのうえで、役員本人が被保険者に該当するかどうかは、役員報酬の有無や業務実態を踏まえて確認します。
会社員がマイクロ法人から役員報酬を受ける場合は、二以上事業所勤務の手続きが必要になることがあり、報酬は合算され、保険料は各事業所に按分されます。
また、役員は雇用保険に原則入れません。万一の場合の備えは、別途考えておく必要があります。
令和8年度は、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料だけでなく、子ども・子育て支援金や事業主負担の子ども・子育て拠出金も確認しましょう。
役員報酬の金額設計は、社会保険料の等級、税務上の損金算入要件、法人の資金繰りが絡むテーマです。
「とりあえず低く設定しておけば節約できる」と考えず、自分の報酬、保険料、給付、将来の年金、法人維持費をまとめて見てください。
まずは協会けんぽの都道府県別保険料額表と日本年金機構の情報で、自分の標準報酬月額における保険料を試算しましょう。
判断に迷う場合は、年金事務所、ハローワーク、税理士、社会保険労務士に相談することをおすすめします。
税金や社会保険料で手取りが増えていきづらい、日本の全サラリーマンのために様々な節税対策に精通した税理士法人。「年収にあった控除対策」「出口戦略のある不動産投資」現状の課題を解決するための策は多様にあるので、数万円でも節税したいと考えているならば、お気軽に無料相談や確定申告代行(基本プラン22,000円)をご依頼ください。