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不動産投資の税務調査
不動産投資をしているだけで、必ず税務調査が来るわけではありません。
注意したいのは、収入漏れ、経費の根拠、修繕費と資本的支出の区分、減価償却、赤字申告の中身です。
赤字申告や還付も、それ自体が直ちに問題になるわけではありません。ただし、なぜ赤字になったのかを、契約書、通帳、請求書などで確認できる状態にしておく必要があります。
税務調査対策で大切なのは、申告した数字を資料からたどれるようにしておくことです。
不動産投資をしていると、「税務調査が入るのでは」「赤字申告や還付を受けていると目を付けられるのでは」と不安になることがあります。
税務調査への不安は、「何を聞かれるか分からない」ことから生まれます。この記事では、不動産投資で見られやすい項目と、普段から残しておきたい資料を整理します。
このページでは、次のような疑問に答えます。
不動産投資の税務調査で確認したいこと
不動産投資でも、申告内容によっては税務調査の対象になります。特に、収入の漏れ、経費の計上、赤字申告、減価償却、修繕費の処理は確認されやすい項目です。
不動産所得は、土地や建物などの貸付けによる所得です。所得金額は、家賃などの総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
ここで注意したいのは、収入が毎月の家賃だけとは限らない点です。更新料、名義書換料、返還不要の敷金・保証金、共益費として受け取る水道代や掃除代なども、収入に含まれることがあります。
契約書、通帳、管理会社の精算書、請求書、領収書などをもとに、申告した数字をたどれる状態にしておくことが大切です。
給与所得者の多くは、勤務先の年末調整で所得税の手続きが完了します。ただし、給与所得者でも確定申告が必要になるケースがあります。
たとえば、給与収入が2,000万円を超える人や、給与を1か所から受けていて、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人などです。
不動産投資をしている場合は、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得を確認します。給与とは別に不動産所得がある人は、年末調整だけで手続きが終わらないことがあります。
税務調査が入るかどうかを事前に断定することはできません。ただ、次のような場合は、申告内容を確認されても説明できるように準備しておきたいところです。
申告内容と資料を確認しておきたいケース
赤字申告そのものが問題になるわけではありません
確認されやすいのは、なぜ赤字になったのか、その赤字を給与所得などと通算してよい内容なのか、という点です。
不動産所得の収入には、毎月の家賃以外のものも含まれます。
たとえば、更新料、名義書換料、返還不要になった敷金・保証金、共益費名目で受け取る水道代や掃除代などです。
管理会社の年間精算書だけを見ていると、収入の内訳を見落とすことがあります。賃貸借契約書、管理会社の明細、通帳の入金履歴をあわせて確認しておきましょう。
特に、複数物件を所有している場合や、入居者の入れ替わりが多い場合は、物件ごとに収入を整理しておくと確認しやすくなります。
不動産所得の必要経費にできるのは、不動産収入を得るために直接必要な費用です。
領収書があるだけでは十分とはいえません。私的な支出と不動産投資の支出が混ざりやすいものは、特に確認されやすくなります。
私的支出と混ざりやすい経費
これらを経費にする場合は、「いつ」「何のために」「どの物件に関係する支出か」が分かるようにしておきます。
経費として見られやすいのは、金額が大きい支出だけではありません。毎年同じように計上している支出や、私用との区別があいまいな支出も確認対象になりやすい項目です。
物件確認、管理会社との打ち合わせ、金融機関との面談など、不動産投資との関係を説明できる移動であれば、経費になる可能性があります。
ただし、私用の移動と混ざる場合は注意が必要です。日付、訪問先、目的をメモしておくと、後から確認しやすくなります。
管理会社との連絡、入居者対応、物件情報の確認などに使っている通信費は、不動産投資との関係を説明できる場合があります。
スマートフォンや自宅のインターネット回線は私用でも使うことが多いため、全額を経費にすると説明が難しくなることがあります。按分する場合は、割合の根拠を残しておきましょう。
不動産会社、管理会社、金融機関などとの打ち合わせで使った費用でも、相手や目的が分からない支出は説明しにくくなります。
領収書に金額だけが残っている状態では不十分です。誰と、何のために、どの物件に関係して使ったのかを簡単に残しておくと安心です。
物件確認や管理会社への訪問で車を使う場合、車両費の一部を経費にできることがあります。
通勤や私用でも使っている車なら、不動産投資に関係する部分だけを区分する必要があります。走行記録や訪問メモがないと、経費割合を説明しにくくなります。
不動産投資に関するセミナーや書籍の費用も、内容によっては経費になる可能性があります。
一方で、資産形成全般、自己啓発、投資全般のように範囲が広いものは、不動産収入との関係を説明しにくい場合があります。セミナー名、内容、参加目的を残しておくと判断しやすくなります。
不動産所得が赤字になると、原則として他の黒字の所得と損益通算できます。給与所得がある人なら、所得税の還付につながることもあります。
赤字申告で確認したい項目
「赤字だから危ない」と考える必要はありません。大切なのは、赤字になった理由を資料でたどれることです。
建物や建物附属設備などは、取得した年に全額を経費にするのではなく、使用できる期間にわたって分けて経費にします。これが減価償却です。
土地は減価償却の対象になりません。そのため、不動産を購入したときは、土地と建物をどう分けたかが重要です。
建物部分の金額、建物附属設備の扱い、耐用年数、取得初年度の償却額は、その年だけでなく翌年以降の申告にも影響します。
大きな修繕費を計上した年は、不動産所得が赤字になりやすくなります。
ここで大切なのは、その支出が修繕費なのか、資本的支出なのかです。通常の維持管理や、壊れた部分を元に戻すための支出は、修繕費として経費にできることがあります。
一方、建物の価値を高める工事や、使用できる期間を延ばす工事は、資本的支出として扱われることがあります。名前が「修繕工事」になっているかどうかではなく、工事の中身で判断されます。
たとえば、原状回復に近い工事なのか、設備のグレードを上げる工事なのかで扱いが変わることがあります。
請求書の金額だけでなく、工事の中身を残す
見積書、工事内容、施工前後の写真なども保管しておきましょう。
不動産投資では、借入金の利子を経費にしているケースが多くあります。業務のための借入金利子は必要経費になります。
ただし、不動産所得が赤字になった場合、土地を取得するための借入金利子に相当する部分は、他の所得との損益通算ができません。
借入金返済予定表だけでなく、土地と建物の取得価額の内訳が分かる資料も残しておく必要があります。
物件を取得した年は、仲介手数料、登記費用、ローン関連費用、不動産取得税など、支出が多くなりやすい年です。
ただし、すべてをその年の経費にできるとは限りません。取得価額に含めるもの、経費にできるもの、減価償却で処理するものを分ける必要があります。
不動産投資で税務上の判断が難しいものの一つが、修繕費と資本的支出の区分です。
判断に迷いやすい工事
同じ「工事」でも、内容によって処理が変わります。工事名だけで判断せず、見積書や請求書に工事内容が分かる形で残しておくことが重要です。
居住用物件の家賃は、原則として消費税の非課税取引です。ただし、すべての不動産収入が非課税になるわけではありません。
事務所、店舗、駐車場などがある場合は、居住用家賃と同じ扱いでよいとは限りません。消費税の課税関係を個別に確認する必要があります。
また、事業用建物の契約に伴って受け取る返還不要の保証金、権利金、敷金、更新料なども、課税対象になることがあります。
税務調査の事前通知は、原則として電話などで行われます。通知では、調査の日時、場所、対象となる税目、対象期間、調査の目的などが伝えられます。
ただし、一定の場合には事前通知が行われないこともあります。
税務署からの連絡時に確認すること
電話を受けた時点で、細かい内容にすぐ答えようとしすぎる必要はありません。まずは、聞かれた内容をメモし、対象年分や必要資料を確認します。
日程の都合が悪い場合は、合理的な理由があれば変更を相談できます。税理士に依頼している場合は、連絡内容をそのまま共有し、対応を確認しましょう。
不動産投資の税務調査対策は、特別なことをするより、普段の資料整理が中心です。
帳簿や領収書は、税務調査が来てから急いで整えるものではありません。申告した数字を後から追えるようにしておくことが、もっとも現実的な備えです。
不動産所得がある人は、白色申告でも記帳・帳簿等の保存制度の対象です。収入金額や必要経費を記載した帳簿、請求書、領収書などを保存する必要があります。
申告後も確認できるようにしておきたい資料
「なんとなく合っている」ではなく、数字の根拠を示せる状態にする
収入や経費の金額を、契約書、精算書、通帳、請求書などから確認できる状態にしておきましょう。
不動産投資の申告は、物件数が少なければ自分で対応できる場合もあります。ただ、次のような状況なら、早めに税理士へ相談した方がよいでしょう。
税理士への相談を検討したい状況
税理士に相談するメリットは、申告書を作ってもらうことだけではありません。
不動産投資では、物件を買った年の処理が、翌年以降の減価償却や売却時の税金にも影響します。修繕費の判断、借入金利子の扱い、土地と建物の按分も、その場だけで完結しない論点です。
申告直前だけで判断するより、普段から処理の根拠を整理しておく方が、税務調査にも対応しやすくなります。
必要以上に不安になるより、毎年の申告を説明できる形にしておく
不動産投資でも、税務調査が入ることはあります。
見られやすいのは、家賃以外の収入漏れ、経費の妥当性、修繕費と資本的支出の区分、減価償却、借入金利子、赤字申告の中身などです。
税務調査への不安は、「何を聞かれるか分からない」ことから生まれます。収入・経費・資産の処理を、契約書・通帳・請求書などでたどれるようにしておけば、調査時にも慌てにくくなります。
不動産投資の税務調査対策は、調査当日の受け答えだけで決まるものではありません。
普段から根拠を残して申告する
その積み重ねが、いざ確認を受けたときの安心につながります。
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