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税務調査にAIはどう使われる?

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目次

税務調査AIの基本

国税庁は、申告書や保有する資料情報を分析し、調査必要度の高い対象を抽出するためにAIを活用しています。

ただし、AIが単独で税務調査を行ったり、調査対象を自動で決めたりしているわけではありません。最終的に調査を行うかどうかは、調査官が申告内容や資料情報を確認したうえで判断します。

考えるべきなのは「AIに見つからない方法」ではなく、収入・経費・口座・資料の流れをそろえることです。

「税務調査の対象がAIで選ばれている」と聞くと、自分の申告も細かく見られているのではないかと不安になるかもしれません。

副業、不動産所得、暗号資産、海外資産などがある人は、申告前にズレがないか確認しておきましょう。

税務調査でAIは何に使われているのか

国税庁は、法人税等の調査で「AIを活用した予測モデル」により、調査必要度の高い法人を抽出していると説明しています。

この予測モデルは、AIの判定だけで調査対象を決めるものではありません。申告書や国税組織が保有する資料情報などを併せて分析し、調査官が最終的に判断します。

AI・データ分析で確認されやすくなるポイント

  • 売上や副業収入に計上漏れがないか
  • 経費が収入や業務内容に対して不自然に多くないか
  • 領収書、請求書、契約書、通帳履歴がつながっているか
  • 事業用と個人用の支出が混ざっていないか
  • 海外資産や暗号資産の収入を正しく申告できているか

AIが何でも自動で判断するわけではありません。申告書や資料情報をもとに、調査必要度の高い対象を抽出しやすくしている、と捉えると分かりやすいでしょう。

AI活用で税務調査はどう変わっているのか

税務調査の動きは、税目によって異なります。「調査件数が一律に減っている」と考えないことが大切です。

法人税等・令和6事務年度

追徴税額3,407億円

実地調査は5万4千件。1件当たりの追徴税額は634万2千円で、前年より増加しています。

所得税・令和6事務年度

調査等73万6千件

実地調査と簡易な接触の合計。追徴税額は1,431億円で過去最高です。

法人税等では、令和6事務年度の実地調査件数は5万4千件で、前事務年度より減少しました。一方で、法人税・消費税の追徴税額は3,407億円となり、直近10年で最高です。調査1件当たりの追徴税額も634万2千円で、前年より増えています。

法人税等では、調査必要度の高い対象を絞り込み、効率的に調査する傾向が見られます。

一方、所得税では、実地調査と簡易な接触を合わせた調査等の件数が73万6千件となり、前事務年度の60万5千件から増えています。追徴税額は1,431億円で過去最高です。

会社員でも税務調査と無関係ではないケース

給与だけで生活している会社員の多くは、勤務先の年末調整で所得税の精算が終わります。ただし、給与以外の所得や資産取引がある場合は確認が必要です。

会社員でも確定申告が必要になる代表的なケースは、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人、給与を1か所から受けていて給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える人などです。

確認したい給与以外の所得

  • 副業や業務委託による所得
  • フリマアプリやネットオークションによる所得
  • 暗号資産の売却等による所得
  • 民泊による所得
  • NFTの譲渡による所得
  • 不動産所得
  • 海外口座や海外資産から生じる所得

どんな人が申告内容を見直したほうがよいか

会社経営者や個人事業主だけでなく、給与所得者でも副業や資産運用がある場合は、確認すべき点が増えます。

状況 確認したいこと
副業収入がある 所得が20万円を超えていないか、住民税の申告が必要か
副業収入が増えてきた 雑所得か事業所得か、帳簿や書類を残しているか
暗号資産の取引がある 取引履歴、損益計算、海外取引所の利用状況
不動産所得がある 家賃収入、修繕費、借入金利息、減価償却の処理
海外資産がある 海外口座、海外不動産、外国株式などの収入申告
家族間で大きな資金移動がある 贈与、貸付、生活費などの区別と資料の有無

自分に当てはまる項目がある場合は、税務調査が来るかどうかに関係なく、申告内容を一度見直しておくと安心です。

AI・データ分析で確認対象になりやすい申告のズレ

税務署が確認しやすいのは、派手な節税をしている人だけではありません。むしろ、数字と資料がつながっていない申告に注意が必要です。

説明が難しくなりやすい申告の状態

  • 入金はあるのに、売上や副業収入として申告されていない
  • 経費の金額が大きいのに、領収書や請求書がない
  • 飲食費や交際費の相手・目的を説明できない
  • 家族や知人への支払いに実態がない
  • 個人口座に事業収入が入っている
  • 生活費と事業費が同じカードで混ざっている
  • 家事按分の割合に根拠がない
  • 海外口座や海外不動産の収入を申告していない

法人税等の調査事例では、売上、原価、経費などの不正パターンをAI・データ分析で判定した例が紹介されています。個人の税務調査でも、収入漏れや経費の根拠不足は確認されやすい論点です。

税務調査で問われるのは「なぜその数字になったのか」

領収書があっても、業務との関係や金額の根拠を説明できなければ、経費として認められないことがあります。

暗号資産・海外資産・ネット収入は特に確認したい

暗号資産、海外資産、ネット上の収入がある人は、申告前に一度整理しておきたいところです。

令和6事務年度の資料では、暗号資産等取引を行っている個人に対する調査の1件当たり追徴税額は745万円でした。所得税の実地調査全体の299万円と比べて、2.5倍です。

暗号資産は、売却や交換などで所得が生じる場合があります。複数の取引所を使っている、海外取引所を利用している、過去の取引履歴が整理できていない、といった場合は計算ミスが起きやすくなります。

海外口座、海外不動産、外国株式、海外で受け取った収入などがある場合、国内の申告だけを見ていればよいとは限りません。

国税庁は、国外送金等調書、租税条約等に基づく情報交換制度、CRS情報などを活用し、海外投資等を行っている個人への調査を行っています。

経費は領収書があれば大丈夫なのか

必要経費にできるのは、収入を得るために直接要した費用や、その年に生じた業務上の費用です。

領収書があっても、仕事との関係が説明できなければ、経費として認められないことがあります。

個人利用と仕事利用が混ざりやすい支出

  • 自宅家賃
  • 光熱費
  • 通信費
  • 車両費
  • 飲食費
  • 旅費
  • 交際費
  • 書籍代
  • パソコンやスマートフォンの購入費

これらを経費にする場合は、どの部分が仕事に関係するのかを分けて考える必要があります。

家事関連費は、取引の記録などに基づき、業務に直接必要だった部分を明確に区分できる場合に限り、必要経費になります。

税務署から問い合わせや「お尋ね」が来たらどうするか

税務署から問い合わせや「お尋ね」が届いても、すぐに大がかりな税務調査だと決めつけず、まずは確認されている内容を整理しましょう。

  1. 文書や電話の内容を確認する
  2. 対象年分の申告書を用意する
  3. 通帳、請求書、領収書、取引履歴を集める
  4. 申告内容と資料にズレがないか確認する
  5. 自分で判断できない場合は、回答前に税理士へ相談する

対象年分、確認したい所得、求められている資料、回答期限を確認します。

過去の申告漏れや経費の根拠不足に心当たりがある場合は、回答前に資料を整理し、不安があれば税理士へ相談したほうが安全です。

過去の申告漏れに気づいたときはどうするか

「副業収入を申告していなかった」「暗号資産の計算が間違っていた」「経費を多く入れすぎていた」と気づいた場合は、まず対象年分と金額を整理します。

税務署へ連絡する前に整理したいこと

  • どの年分の申告に誤りがあるか
  • 収入の計上漏れはいくらか
  • 経費に入れすぎた金額はいくらか
  • 追加で納める税額が発生するか
  • 申告書、通帳、取引履歴、領収書が残っているか

誤りがある場合は、修正申告や期限後申告が必要になることがあります。追加で税金が発生する場合、加算税や延滞税がかかることもあります。

どの手続きが必要かは状況によって変わります。特に、複数年にわたる申告漏れ、暗号資産、海外資産、不動産所得が関係する場合は、自分だけで判断せず、税理士に確認したほうがよいでしょう。

税務署から連絡が来る前に整理できるものは、早めに整理する

事実関係や資料を先にそろえておけば、必要な手続きや説明内容を判断しやすくなります。

税務調査に備えて普段から残しておきたい資料

税務調査への備えは、調査が来てから始めるものではありません。副業や不動産所得がある場合は、入金と申告額が合っているかを普段から確認しましょう。

経費も、領収書を保存するだけでなく、何のための支出か分かるようにしておくことが大切です。

打ち合わせの飲食代であれば、相手、目的、日付、金額を後から確認できるようにします。家事按分がある支出は、按分割合を決めた理由を残しておきましょう。

普段から保存しておきたい資料

  • 売上や副業収入の請求書
  • 入金履歴が分かる通帳や取引明細
  • 契約書、発注書、納品書
  • プラットフォームの売上データ
  • 領収書、レシート、カード明細
  • 経費にした理由が分かるメモ
  • 家事按分の計算根拠
  • 海外送金や家族間送金の理由が分かる資料
  • 暗号資産の取引履歴

帳簿や書類はどれくらい保存すべきか

事業所得、不動産所得、山林所得がある人は、帳簿や書類の保存が必要です。副業が業務に係る雑所得にあたる場合にも、一定の保存義務があります。

白色申告の法定帳簿
収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は、7年間保存する必要があります。
請求書・納品書・領収書
白色申告者は、請求書、納品書、領収書などの書類を5年間保存する必要があります。
業務に係る雑所得
令和4年以後は、前々年の収入が300万円を超える人について、請求書や領収書など一定の書類を5年間保存する必要があります。
収入が1,000万円を超える場合
前々年の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える人は、確定申告書に総収入金額や必要経費の内容を記載した書類を添付する必要があります。

帳簿や書類は、税務署に見せるためだけのものではありません。自分の申告が正しいかを確認し、後から説明するための材料です。

税務調査が不安なときに見直す順番

不安がある場合は、細かい節税策よりも、大きなズレから確認しましょう。

  1. 収入の漏れがないか
  2. 口座の入金と申告額が合っているか
  3. 経費にした支出の資料が残っているか
  4. 事業用と個人用の支出が混ざっていないか
  5. 家事按分の割合に根拠があるか
  6. 暗号資産や海外資産の申告漏れがないか
  7. 家族間の資金移動を説明できるか
  8. 過去の申告に誤りがないか

税務調査で負担が大きくなりやすいのは、処理の根拠となる資料が残っていないケースです。

数年前の副業収入について聞かれたときに、請求書も入金履歴も取引画面も残っていなければ、確認に時間がかかります。経費も、領収書があっても何のための支出か分からなければ、業務との関係を説明しにくくなります。

資料が整理されていれば、不安はかなり減らせます

まずは入金、申告額、経費、根拠資料の4つがつながっているかを確認しましょう。

税理士に相談したほうがよいケース

税理士に相談する意味は、税務調査が入ってから対応してもらうことだけではありません。申告前に、危ないズレがないか確認することにも意味があります。

早めの相談を検討したいケース

  • 給与以外の所得が毎年発生している
  • 副業収入が増え、雑所得か事業所得か迷っている
  • 経費にできるか判断に迷う支出が多い
  • 暗号資産や海外取引の計算が複雑
  • 不動産所得で修繕費、減価償却、借入金利息の判断がある
  • 海外口座や海外資産がある
  • 家族間で大きな資金移動がある
  • 過去の申告漏れに気づいた
  • 税務署から問い合わせやお尋ねが届いた

自分では問題ないと思っていた処理でも、税務上は説明が難しいことがあります。調査が入ってから資料を集めるより、申告前に整えておくほうが負担は軽くなります。

税理士への相談は、節税のためだけではありません。申告内容に危ないズレがないか、先に確認するための手段でもあります。

税務調査AIを怖がるより、説明できる申告を整える

「バレるかどうか」ではなく、「申告内容を説明できるか」を基準にする

税務調査でAIが使われているからといって、必要以上に怖がることはありません。

ただ、税務署側が申告書や資料情報を分析し、確認すべき対象を見つけやすくなっているのは確かです。

収入は漏れなく計上する。経費は根拠を残す。口座、請求書、領収書、契約書のつながりを整理する。副業、暗号資産、海外資産、不動産所得がある場合は、申告前に扱いを確認する。

特別な対策よりも、こうした基本の積み重ねが一番の備えになります。

申告内容に少しでも説明しにくい点があるなら、早めに見直しておきましょう。税務調査が入ってから慌てるより、平時から数字と資料を整えておくほうが安心です。

参考資料

記事作成時に参照した資料

  • 国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」
  • 国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
  • 国税庁「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」
  • 国税庁 タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
  • 国税庁 タックスアンサー「No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合」
  • 国税庁 タックスアンサー「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」
  • 国税庁 タックスアンサー「No.2210 必要経費の知識」
監修sponsored by トランス税理士法人
トランス税理士法人・代表 中山慎吾            
トランス税理士法人・代表
中山慎吾氏
サラリーマンに特化した税理士事務所
トランス税理士法人

税金や社会保険料で手取りが増えていきづらい、日本の全サラリーマンのために様々な節税対策に精通した税理士法人。「年収にあった控除対策」「出口戦略のある不動産投資」現状の課題を解決するための策は多様にあるので、数万円でも節税したいと考えているならば、お気軽に無料相談や確定申告代行(基本プラン22,000円)をご依頼ください。

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