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RSUの取得価額
海外証券口座のCost Basisが0や空欄でも、それだけで日本の取得価額が0円になるわけではありません。
一般的な無償交付型RSUでは、制度内容を確認したうえで、株式を取得した時の時価を取得価額の起点にします。その時価と給与課税の評価が同じ時点・同じ額であれば、後日の取得価額を確認する手掛かりになります。
会社のVest・Release資料、給与明細、証券口座の取引履歴(Activity)を同じ付与回ごとに並べると、取得価額を復元しやすくなります。
迷いやすいのは、RSUを買うために現金を払っていないことです。「購入代金がないなら取得価額も0円では」と考えやすいのですが、日本の税務上の取得費は、証券口座に表示された購入代金だけで決まるわけではありません。
確認の中心になるのは、Grant日ではなく、株式を取得したといえる時点と、その日の1株当たり時価です。ただし、Vest、Release、実際の株式交付が同日とは限りません。会社の制度資料と取引履歴を付き合わせて判断します。
一般的な無償交付型RSUでは、株式取得時の時価が取得価額の基本です。給与明細にRSUの収入額が載っていても、その円建て総額をそのまま転記するのではなく、対象日、対象株数、評価額、換算レートを照合します。
最初にそろえる4つの数字
確認の出発点
1回の取得について、1株当たり時価(外貨)×取得株数×取得日の換算レートで円換算額を組み立て、会社が給与として計上した金額と照合します。差があれば、対象日、株数、評価額、為替、Vestと交付日の関係をもう一度確認します。
※参照元URL:国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm)
日付の意味を分けておくと、資料を読み違えにくくなります。RSUの収入計上時期については、税務大学校の公表研究で、単なるGrant時ではなく、株式の引渡請求権が確定して経済的利益が実現する時点とする整理が示されています。ただし、これは国税庁の公式見解そのものではありません。Grant日が評価日ではないのが通常だと押さえたうえで、Vest、Release、交付日がずれる制度はPlan Documentで確認します。
外国法人から与えられた株式取得権でも、雇用関係に基づく経済的利益は原則として給与所得に区分されます。ただし、退職後の権利確定や業務委託など、雇用関係とは異なる事情がある場合は別の検討が必要です。
※参照元URL:国税庁「所得税基本通達23~35共-6」(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/10.htm)
※参照元URL:税務大学校論叢「株式を利用したインセンティブ報酬の収入計上時期に関する一考察」(https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/92/01/index.htm)
会社側の資料は、「制度上いつ取得したのか」と「給与にいくら反映されたのか」を確認するために使います。資料名は会社や株式報酬プラットフォームによって異なるため、名前より記載項目を見ます。
| 資料 | 見る項目 | 照合先 |
|---|---|---|
| Plan Document / Award Agreement | Vest条件、株式交付の時期、端株や源泉方法 | Vest・Releaseの日付がずれた理由 |
| Vest / Release Confirmation | 対象日、総株数、1株当たり時価、総評価額 | 証券口座の取引履歴と給与明細 |
| 給与明細・会社の年次資料 | RSUとして給与計上された円貨額、計上月 | Vestごとに復元した円換算額 |
証券口座の取引履歴では、株式が入った取引と、同時に減った取引を分けて追います。口座へ最終的に残った株数だけを見ると、取得した総株数を少なく捉えるおそれがあります。
※参照元URL:Fidelity NetBenefits Help「Sell to Cover」(https://www.fidelity.com/webxpress/help/topics_isp/help_definition_s.shtml)
※参照元URL:IRS「Instructions for Form 1099-B (2026)」(https://www.irs.gov/instructions/i1099b)
外貨建てRSUは、ドル建ての値動きだけでなく、取得時と売却時の為替レートの違いも円ベースの譲渡損益へ反映されます。取得時の時価と売却代金は、それぞれの取引を計上すべき日のレートで換算します。
外貨建取引は、原則として取引を計上すべき日のTTM(対顧客直物電信売相場と買相場の仲値)で円換算します。RSU取得時の時価は取得日、売却価額は売却を計上すべき日、手数料はその支出を計上すべき日のレートで、それぞれ換算します。
外貨の売却代金を受け取る都度すぐ円転した場合はTTB、円で外貨を買ってすぐ費用へ充てた場合はTTSを使える扱いがあります。ただし、収入は常にTTB、費用は常にTTSという意味ではありません。
同じ銘柄を複数回取得して一部を売却した場合、取得費は総平均法に準ずる方法で求めた1株当たり価額を基に計算します。証券会社のSpecific Lotを選んで売却していても、日本の取得費がそのロットの表示額になるとは限りません。
ロット別管理と申告計算は役割が違います
Vestごとの取得日・株数・外貨時価・円換算額は、計算の入力資料として残します。そのうえで、売却時までに保有・追加取得した同一銘柄をまとめ、平均単価を計算します。
| 取引 | 計算 | 円換算額 |
|---|---|---|
| 1回目の取得 | 10株×100ドル×150円 | 150,000円 |
| 2回目の取得 | 10株×120ドル×140円 | 168,000円 |
| 平均単価 | (150,000円+168,000円)÷20株 | 15,900円/株 |
| 12株の売却価額 | 12株×130ドル×145円 | 226,200円 |
| 譲渡損益 | 226,200円-(15,900円×12株)-手数料2,000円 | 33,400円 |
この例は、2回の取得後、途中の売却がない状態で12株を売却し、便宜上すべての換算にTTMを用いたものです。実際には取引順、売却時までの保有株、手数料、直ちに円転したかどうかにより計算が変わります。
※参照元URL:国税庁「外国通貨で支払が行われる不動産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算の際の円換算」(https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/03/09.htm)
※参照元URL:国税庁「No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1466.htm)
一つの書類だけで答えを出そうとせず、取得イベントごとに証拠を重ねます。優先したいのは、画面に表示されたCost Basisより、いつ・何株を・いくらで取得したかを直接示す資料です。
取得時点・株数・時価・円換算を一続きに説明できない場合は、売却年の申告直前まで待たずに相談した方が整理しやすくなります。
相談を検討したいケース
取得回ごとに保存したい資料
取得価額の相談では、証券口座の年間報告書だけでなく、会社から届いたVest・Release資料と給与明細が重要です。英語の資料名が分からなくても、日付、株数、時価、源泉に使われた株数が見える画面を一式保存してください。取得回ごとに並べておけば、売却後でも計算の根拠をたどりやすくなります。
Cost Basis欄ではなく、取得の事実から組み立てる
一般的な無償交付型RSUの取得価額は、株式取得時の時価を起点に確認します。会社資料で取得時点・総株数・時価・給与計上額を確認し、海外証券口座でRelease、Sell-to-coverまたは株式控除、Net shares、Saleをつなげます。
複数回Vestした同一銘柄は、取得回別の記録を残したうえで、売却時に総平均法に準ずる方法で1株当たり取得価額を計算します。取得時と売却時の円換算日も分けます。
まず1回分だけ復元する
直近のVestについて、会社資料、給与明細、証券口座の取引履歴を横に並べてください。取得日、総株数、時価、為替、売却・控除株数、Net株数まで一続きに説明できれば、過去分も同じ形式で整理できます。
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RSUの確認では、口座に残った株数だけを見ないことが大切です。Sell-to-coverがあると、たとえば株式を100株取得しても、税負担に充てる取引の後は70株だけが表示されることがあります。取得資料は100株、処分資料は30株、残高は70株というように、同じVestに属する取引としてつなげて確認します。数字は例示であり、実際の源泉方法や株数は制度ごとに異なります。